音楽理論 ざっくり解説

音楽理論をざっくり解説します。最低限のポイントだけ知りたい方へ

ノンダイアトニックコードを使う 後編

スポンサーリンク

ノンダイアトニックコードを使う 後編です。前編はこちら(ノンダイアトニックコードを使う 前編

前編ではドミナントの連結について学びました。後編ではそれ以外のパターンについて色々見てみましょう。

 

モーダルインターチェンジ

またまた訳の分からない横文字が登場しましたが、旋法の(modal)交換(interchange)という意味です。簡単に言うと、あるコードを同主旋法の別のコードに置換してしまうということです。

f:id:mie238f:20190209141021j:plain

上がCメジャーのダイアトニックコード、下がCmのダイアトニックコード(ⅤはGmでも可)ですが、Cメジャーの曲中のあるコードを、同じローマ数字を持つCmのダイアトニックコードに交換することが出来るのです。

f:id:mie238f:20190209141108j:plain

こんな感じです。

「旋法の交換」なので、マイナー(エオリアン)だけでなく他の旋法から持ってくることも出来ますが、使用例は多くありません。強いて言うならCフリジアンからD♭を持ってくるぐらいでしょうか。

 

あ、あとはCロクリアンからE♭mを持ってくるとか?

う~ん…使わねぇな~…(ーωー;)

スポンサーリンク
 

 

逆に、短調のときに長調の和音を持ってくることも出来ます。しかし「音のパワー」みたいなものを考えると、やはり短調よりも長調のほうがパワーが強いんですよ。なので、下手に長調の和音を使うと主張が強すぎて浮いてしまうので、使えるコードは限定的です。

むしろ短調のときは、先程ちらっと登場したD♭やE♭mが使いやすいですね。

 

ちなみに短調のときに使われる長調の和音の代表はFとCで、Fは「ドリアのⅣ」と呼ばれています。クラシックではドッペルドミナント的な役割を果たしますが、ポピュラーでは「Cm→F→Cm→F」のような進行もよく使われます。これによって名前の通りドリア風の雰囲気を出すことができます。

この和音についてはこちら(Ⅳ諸和音)でもチラッと触れています。

 

一方Cは、もちろん理論上はCmの代わりにいつでも置くことが出来るのですが、曲のラストに使うと効果的です。

ラストに置くCは「ピカルディーのⅠ」と呼ばれ、短調の曲のラストをドカーン! と壮大な感じで締めたいときに使われます。(ピカルディーの3度、ピカルディー終止などと言われることもあります)

www.youtube.com

私がこの和音を知ったのはコレがきっかけでした。バッハのマタイ受難曲の冒頭合唱。Emの重苦しく鬱屈とした曲調なのですが、最後の締めはドカーンとEメジャーのコードで終わるのです。このカタルシス的な感覚がたまりません。

最後だけ聞いても全然カタルシスにならないので、少し前から、時間に余裕がある方は出来ればフルで聞いて頂きたいと思います。

 

ところで、広義では旋法・音階が変われば全てモーダルインターチェンジと言うらしいです。つまりCメジャーがDメジャーに変わっても、それはモーダルインターチェンジと言うようなのです。しかしそうなると全ての借用・転調はモーダルインターチェンジになってしまい、逆に意味がなくなってしまうので、今回はそこまで深入りはしません。

 

dimコード

次にdimについて考えてみましょう。dimの基本的なことはこちら「減七の和音(dimコード)」で解説しているので、詳しく知りたい方はご覧下さい。

dimは♭9thのコードからルートが外れた形です。例えばC#dimはA7(♭9) からルートが外れた形です。よって前編で紹介した「C→A7→Dm」というコード進行を「C→C#dim→Dm」と置き換えることができます。これによってルートが半音進行で滑らかになります。

逆に「Dm→C#dim→C」とか「C#→C#dim→C」のような進行も有りますが、やはりdimのルートは上に行こうとするパワーが強いので、例は多くありません。

 

あとは「Cdim→C」のような進行もたまに見ることができます。なぜこのような進行が可能なのでしょうか。

「ルートが同じなんだから何に進行しようが勝手だろ」と言ってしまえば終わりなのですが、♭9thの観点からも少し考えてみましょう。

先程と同様に考えると、CdimはB7(♭9) からルートが外れた形です。B7→Cという進行は、Em(ホ短調)のⅤ→Ⅵの進行と同じです。よって合法というわけなのです。

 

dimは「何のコードからルートが外れた形なのか」ということが分かっていれば決して難しいコードではありません。

 

中心軸システム

以上でだいたい説明は終わったと思うのですが、ついでにコレについても軽く触れておきたいと思います。

中心軸システムとは「五度圏を十字で結んだコードは同じ機能を持つ」という理論です。コードだけでなく調や単音に対しても同様です。バルトークが提唱した…と私は思っていたのですが、そうでもないようです。

f:id:mie238f:20190209142517j:plain

上の円を五度圏と言いますが、これを十字で結ぶ。例えば12時・3時・6時・9時(C・A・F#・E♭)のコードは同じ機能を持つ。つまり全てトニックとして扱うことができるという意味です。mが付いても7thが付いても同様です。

中心軸システムもかなり面白い理論なので、機会があれば改めて解説いたします。

 

ちなみにジャズのジョン・コルトレーンは「コルトレーン・チェンジ」という似たような理論を提唱しています。中心軸システムは十字でしたが、コルトレーンは正三角形です。つまりC・E・A♭が仲間であると考えたわけですね。

 

さて、これでノンダイアトニックコードについて一通り解説が終わりました。

これらの理論を駆使して、周りをアッと驚かせるような曲を書いてしまいましょう。