突然ですが、歴代CD売上ランキングを見てみましょう。
若い人でも歌える歌、当時はアホみたいに流行っていたけど今の若い人は誰も知らない歌、この一曲だけで消えてしまった人。色々ありますね。
また、ランキングには入っていないけど、これらの曲を凌ぐ名曲がウジャウジャ存在することを忘れてはいけません。
そして残念なことに、おそらく100年後にはこれらの曲はほぼ残っていないでしょう。
(名曲は沢山あるし、私個人的に好きな曲も沢山あるのですが、100年残るかと言われたら微妙)
クラシックの作曲家も、実はこれと同じです。
200年以上も世界中で演奏され続けているモーツァルトやベートーベンは化け物です。
彼らはプレスリーやビートルズやマイケル・ジャクソンを合体させたような超スーパースターです。
彼らの影には、当時は超売れっ子だったけど今では忘れ去られてしまった作曲家や、才能はあったのにヒットに恵まれなかった作曲家が山のようにいます。
今は有名でも、100年後には忘れ去られている作曲家も沢山いることでしょう。
そして、かろうじて一曲だけ売れた作曲家、一曲だけ残った作曲家もいます。
今日はそんなクラシック界の一発屋を見ていきましょう。
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ウェルナー
まずはこちらの曲をお聞き下さい。
あ、すみません。間違えました!
これはシューベルトの作品ですね。全然一発屋ではありません。
この曲はゲーテが書いた「野ばら」という詩に曲をつけたものなのですが、シューベルト以外にも沢山の作曲家が曲をつけています。
私が紹介したかったのはこちらです。
ウェルナーという作曲家が書いたバージョンの「野ばら」です。
メロディは知っている方もいるかもしれませんが、ウェルナーという名前は聞いたことないでしょ。まさに一発屋ですね。
このウェルナーさん、本業は学校の音楽の先生らしいので、そもそもプロの作曲家ではない。しかも32歳で死んでいます。
長生きしていればもう少し作品を世に出せたかもしれませんね。
バダジェフスカ
続きまして、何とも言いづらく覚えづらい名前のバダジェフスカさんです。この人は女性作曲家です。
なんかフィギュアスケートの選手にいそうな名前ですねw
この人の大ヒット作品は「乙女の祈り」です。
私が以前住んでいた地域ではゴミ収集車がこの曲を鳴らしながら走り回っていたので、この曲を聞くと「ゴミ出さなきゃ!」という気持ちになります。
バダジェフスカもウェルナー同様夭逝しています。
もし長生きしていたら…と思うところですが、実はバダジェフスカは本格的な音楽教育を受けていないため、深い芸術性を持った作品よりは、どちらかと言うとポップな曲を残したかもしれません。
事実、この曲も理論的に高度な点は一切ありません。
和音は3つしか使わないし、左手はほぼ同じことしかしないし、メロディはほぼアルペジオだし、変奏曲なのでAメロを延々と繰り返すだけ。しかも変奏曲と言う程の変奏でもない。
なんか何となくラジオ体操の曲のように聞こえてきますね…。
(バダジェフスカの声)
「でもヒットしたんだから良いだろ。ヒットすら無いお前より私のほうが上だ!」
はい、その通り。
モンティ
続いてはチャルダッシュを書いたモンティです。
チャルダッシュというのはハンガリー語で「酒場風」のような意味らしいです。
当時のハンガリーでは兵士の勧誘のために酒場でダンスを踊っていたらしく、そこで使われた音楽が元になっているようです。つまり曲の名前ではなくジャンルの名前です。
あ、モンティ自身はハンガリー人ではなくイタリア人です。ややこしいですねw
(冒頭を聞いても何の曲かピンと来ない方は1分50秒まで飛ばしてください)
チャルダッシュはジプシー音楽の一種で、テンポが遅い部分と速い部分が極端に変化するのが特徴です。
遅い部分はドロドロとねちっこく、速い部分は「ズン、チャ、ズン、チャ」というリズムを意識しながら弾きましょう。
ちなみにジプシーという言葉は差別用語だということで、最近は「ロマ」と言われていますが、それはそれで問題があるようです。
もはや何と呼べばいいのか分かりません。早く決着つけてくれ。
パッヘルベル
次はカノンを作曲したパッヘルベルです。
カノンもチャルダッシュ同様、曲の名前ではなくジャンルの名前です。
「かえるの合唱」のように、最初の旋律を次々と追いかけて歌う形式のことをカノンと言います。
この曲についてはこちら(パッヘルベルのカノン)で詳しく解説していますので、興味のある方はご覧下さい。
ホルスト
最後にこの人を紹介して終わりにしましょう。
この有名曲を書いたホルストも偉大なる一発屋です。(冒頭を聞いてもピンと来ない方は3分11秒まで飛ばしてください)
これは組曲「惑星」の中の「木星」です。
つまり他にも火星とか水星とかがあるわけです。
まぁそれは置いといて、この曲は3分11秒からの中間部が有名ですね。しかし私はこの部分があまり好きではありませんw
最初と最後の部分は現代音楽風(…と言うか、当時の最先端音楽風)で凄く美しい響きだと思うのですが、中間部は和音もメロディも単純だし、しかも構造的にもメロディの後ろで和音が「ジャン! ジャン!」と鳴っているだけ。
この差は一体何でしょうか…。
勝手な想像ですが、木星って衛星がいっぱい有りますよね。
最初と最後の部分は衛星を表しているんじゃないかと思うのです。
つまり、宇宙船で地球を出発して、最初はイオとかエウロパとか様々な衛星が見えてきて、そのうち木星本体が登場。
その迫力たるや、まさに中間部の堂々とした旋律のようです。
そして本体を通り過ぎると、再びいくつかの衛星がチラッと見えて、宇宙船は次の星へ…。
というのが私の解釈なのですが、実はこの「惑星」とは本物の星をイメージしたわけではなく、占星術から着想を得たものらしいので、おそらくこの解釈は間違っているでしょう。残念です。
さて、今回は様々なクラシックの一発屋について勉強しました。
しかし例え一発だけであっても、何百年も演奏され続けているのですから凄いことですよね。
私の曲なんてきっと誰も演奏してくれないことでしょう。
チックショー!!
チャンチャカチャンチャン…