音楽理論 ざっくり解説

音楽理論をざっくり解説します。最低限のポイントだけ知りたい方へ

音楽理論は必要なのか

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たまにはこんな荒れそうなテーマに挑戦してみましょう。

 

芸術の弱点(?)は、作品の良し悪しを点数などで明確に決められないところです。

私の絵とピカソの絵を比べたらピカソの圧勝に決まっていますが、それを万人が納得するように数値化することは出来ません。

写実性を評価基準にしたら、ワンチャン私が勝ってしまうかもしれない。

 

音楽も同様です。

音楽理論を勉強すれば良い曲が書けるようになりますが、では「良い曲の定義とは何か」「この曲は何点か」と聞かれたら、私は答えられない。

いや、答えられますが「それはお前の主観だろ」と言われたら反論できない。

 

高度な音楽理論に則った曲は、一流シェフの料理のようなもの。そうでない曲はジャンクフードです。

世の中にはジャンクフードのほうが好きな人もいます。

これが料理の話ならば「体に悪いからやめろ!」と言えるのですが、音楽の場合「理論に則っていない曲は体に悪い」という科学的データも無いので、そのような曲を論理的に否定することは出来ません。

 

つまり、音楽理論に則っていない曲を書くこと、それを好んで聞くこと、音楽理論を勉強しないこと。これらは全て個人の勝手です。

私としては、これらの行為は音楽に対する冒涜だと思っているのですが、取り締まる法律が無い以上どうしようもない。

 

しかし上記のような「音楽理論不要論者」の更なる問題点は、「音楽は自由」「大事なのはセンス」「理論を学ぶとそれに縛られる」などと言って、自分達の仲間を増やそうと日々熱心に布教活動をしていることです。

後程一つずつ説明しますが、これらは全て真っ赤な嘘。妄想か都市伝説かプロパガンダです。

 

元々勉強する気のない方がそれに騙されるのは全然知ったこっちゃないのですが、勉強する気のある方が洗脳されてしまうのは困ります。

よって今回は、これから音楽理論を勉強しようと思っている初心者の方のために、音楽理論の誤解を解きつつ、後半では勉強方法についても少し語ります。

 

ところで、音楽理論と言っても色々あります。

楽譜の読み書きとか音楽史とか演奏の理論とか音響とか、広義では音楽心理学とか音楽療法とか、そういうものも含まれます。

以下、私の言う「音楽理論」とは作曲に関する理論だと思って下さい。

 

理論童貞

突然ですが「俺、人生で一度も彼女できたことがないんだけど、彼女なんていても面倒なだけだよ」と言われたらどう思いますか?

彼女できたことないくせに何を偉そうに言っているのか、意味が分かりませんよね。

 

音楽理論不要論者のほとんどは、理論を全く勉強したことが無いか、数ページかじった程度です。

勉強したことがないのに知ったかぶりで否定する、かなり危ない人種です。

 

また、ちょっと理論書を紐解いてみたけど全く理解できず、負け惜しみとして「こんなもの必要ない!」と開き直るパターンも定番です。

学生時代に、数学が出来ない奴に限って「社会に出たら数学なんて必要ない!」と言うのと一緒ですね。

 

そのような人種の言うことを信じる必要は全くありません。初心者の方は騙されないように注意して下さい。

 

理論って何

理論とは「一見バラバラに見える事象を、後から分かりやすくまとめたもの」です。

 

例えば、三角形の内角の和。

世の中には大きな三角形、小さな三角形、二等辺三角形、直角三角形など色々ありますから、角度なんて全部バラバラであるように思えます。

しかしこれを「実は全部180度なんだよ」と分かりやすくまとめたものが理論です。

(これは正確には「理論」とは言わないのかもしれませんが、ただの例えです)

 

音楽理論もこれと一緒です。

世の中には明るい曲、暗い曲、激しい曲、静かな曲など色々あって、一見バラバラであるように思えますが、実は様々な法則があります。

それをまとめたものが音楽理論です。

「音楽理論など後付けにすぎない」とよく言われますが、音楽に限らず、そもそも理論とはそういうもの。

 

さて、冒頭で申し上げたように、音楽理論を学べば良い曲が書けるようになりますが、それを論理的・科学的に証明することは出来ません。

ただし、様々な法則を学ぶため、作曲の引き出しの数は確実に増えます。引き出しの増減は数字ですから、これならば断言しても構わないでしょう。

 

よって、以下なるべく「引き出し」という観点から語ります。

 

文法

音楽理論は楽曲という人工的なものを分析してまとめたものなので、真理ではありません。楽曲の作られ方が変化すれば、理論もそれに合わせて変化します。

つまり、科学や数学よりは、どちらかと言うと言語の文法に近い。

 

例えば相対性理論は、1億年前でも1億年後でも、宇宙のどこであろうとも(多分)成り立ちます。

それに対して文法は、1000年前と現代、あるいは各言語間では全く異なります。

 

音楽理論もそれと一緒で、時代(数百年単位)によって変化したり、アップグレードされたりします。

また、あるジャンルで容認されていることが、別のジャンルでは禁則だったりします。

さらに、数学は計算を少しでも間違えたらアウトですが、音楽は少しくらい文法を間違えても意味は通じます。

 

音楽の範囲

音楽理論は本当に必要なのか。

そろそろこのテーマに行きたいのですが、かなり複雑なので順番に少しずつ説明していきます。

 

まず「音楽」とは音を利用した芸術のことですが、音が鳴れば何でも音楽になるかというと、そうでもありません。

犬の鳴き声・雨風の音・車の音・話し声など、或いは楽器を1音だけポーンと弾いたぐらいでは、それは一般的には音楽だとは思われません。

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世の中に「音」は無限に存在するはずですが、その中である条件を満たしたものだけを我々は「音楽」だと認識しているわけです。

さらに我々は、音楽を聞けば自然と「これはジャズだな」「これは演歌だな」と、ジャンルを判別したり、「次はサビだな」「Aメロ終わったな」などと構造を予想することも出来ます。

なぜ判別できるかと言えば、ジャズにはジャズの条件・定義・法則が存在するからです。

 

つまり、この時点で音楽は自由などではないし、様々な法則に支配されていることは明白です。

この辺の話は後程また触れます。

 

井の中の蛙

我々は日本語を話せますが、文法を勉強したわけではありません。

毎日聞いたり話したり読んだり考えたりしているうちに、自然と身に付けたのです。

 

作曲も、初歩的なものであれば勉強するよりも感覚で身に付けるほうが簡単です。

作曲が出来るようになりたかったら、とりあえずギターを買ってきて、自分の好きな曲を100曲とか200曲とか練習してください。

すると徐々に法則が見えてきます。例えば「G7の後にはCがよく来るな」など。

あとは、それを真似してオリジナル曲を作ってみるだけです。

最初のうちは物凄く時間がかかるし、とても人に聞かせられるようなものではありませんが、慣れれば徐々にクオリティも上がり、メロディとコードだけならプロ並の曲が作れるようになります。

 

この「法則を感じ取る力」のことを「センス」と言います。

ポピュラー界では、ほとんどの人が既存曲の真似をしながら独学で作曲を身に付けます。(私もそうです)

 

するとどうなるか。

選ばれし者にしか出来ないと思っていた作曲という行為を独学で習得し、しかも歌番組で流れるような曲と遜色ないレベルのものが作れる。

完全に、自分は天才であると思い込みます。(私もそうです)

 

このような状態で思考停止した「自称天才」は、自分は作曲をマスターしたと思い込んでいるので、当然ながら音楽理論の勉強の必要性など感じません。

しかし残念ながら、我々は天才ではなく凡人です。凡人のセンスで理解できる範囲など音楽全体のごく一部。極めて初歩的な範囲のみです。

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おそらくこんなもん。

これはプロだろうがアマチュアだろうが大差ありません。

 

…え、そんなことないと思いますか?

では次の曲をお聞きください。


【パイプオルガン】 アンパンマンのマーチ 【アレンジ】

 

これは「アンパンマンのマーチ」をバロック音楽風にアレンジしたものです。

このような曲を、ちょっと聞いただけで真似してスラスラ書ける程の「センス」の持ち主ならば天才と言ってもいい。しかし普通は絶対に無理です。

たまにプロでも「俺は理論を勉強していない!」と豪語する人がいますが、彼らもこのような曲は書けません。実は彼らも立派な凡人なのです。

 

先程赤い円をご覧いただいたように、音楽の世界はもっとずっと広い。

センスだけでは書けないジャンルは沢山あるし、出せない響きもあります。

 

日本語でも、尊敬語・謙譲語・古語・難語・方言など、勉強しなければ分からないことは沢山あります。センスだけでは、タメ口か若者言葉くらいしか扱えるようになりません。

「なぜ敬語を使えなければいけないのか」を科学的に説明することは出来ませんが、少なくとも私は敬語もロクに使えないような奴とは関わりたくない。

何十年も練習している日本語でさえこの状態なのだから、昨日今日始めたばかりの音楽など、ほとんど理解できていなくて当然なのです。

 

しかし自称天才はそんなことには気づきません。いや、本当はちょっと気づいているけど見ないようにしている。

彼らは初歩的な作曲ができて、一応最低限の専門用語も知っているので「作曲は勉強しなくても感覚で出来る」「理論書は簡単なことをわざわざ難しく書く」と言います。

しかし、音名とか階名とか五度圏とかダイアトニックコードとか。そんなのは理論と言う程のものでもない。原理とか公理のレベルです。

それが勉強しなくても分かるのは当たり前。原理や公理を言葉でしっかり説明しようと思ったら余計難しくなるのも当たり前。

 

それは将棋で例えれば「駒がぶつかったらとりあえず取ったほうがいい」とか「飛車を取られるとピンチ」とか、その程度のレベル。

そんなのは理論でも何でもないし、勉強しなくても誰でも分かります。自慢するようなことではない。

 

 

ここでちょっと脱線しますが、「プロ並の曲は簡単に作れる」「プロも凡人」という点に引っかかった方がいるかもしれないので補足。

 

歌番組に出ているような人達は「芸術的に優れた曲を書く人」ではありません。「大衆に受ける曲を書く人」です。

この「芸術音楽」と「大衆音楽」を混同してしまうと話がゴチャゴチャになる。

 

冒頭で申し上げたように、理論的な曲はシェフの料理で、そうでない曲はジャンクフードです。

大衆には音楽の専門知識など無いのだから、一流シェフの小難しい料理よりも、とにかく味が濃くてカロリーがバカ高いジャンクフードのほうを美味しいと思っても仕方がない。

 

音楽をカジった人間は、ランキング上位の曲よりも、一般受けしないマニアックな曲を好んで聞きますよね。

それは、多少なりとも音楽の知識を身に付けたことにより、ランキング上位の曲には栄養素が全然含まれていないことに気付くからです。

(もちろん全ての曲がそうだとは言いません。逆も然り)

 

それに、売れる要因は曲だけではありません。

歌詞が良いとか、顔がカッコイイとか、大ヒット映画の主題歌だとか、事務所の力とか、握手k…(忖度により省略)とか、むしろそっちが大事だったりします。

 

ジャンクフードなんて誰でも作れます。

むしろ、なまじ才能があったら作れないかもw

 

スポーツの世界は点数で勝敗が決まります。センスだけでプレイしている選手は簡単に淘汰されます。

しかし冒頭で申し上げたように、作曲は点数で優劣を決められません。仮に決められたとしても、必ずしも点数の高い曲が一般受けするわけではありません。

つまり、淘汰されるかどうかと作品の点数に相関がないため、音楽理論不要論者がいつまでたっても減らないのです。

 

All You Need Is Theory

話を戻しましょう。

 

我々凡人のセンスなんてゴミみたいなもんですが、モーツァルトやベートーヴェンのような歴史に残る天才達は、あの黄色い円が物凄く巨大です。

例えばモーツァルトを現代に連れてきて、ジャズとかヘビメタとかテクノを数曲聞かせたら、すぐに真似して書いてしまうことでしょう。

 

では我々が天才達のように多種多様なジャンルの曲を書いたり、斬新な響きを生み出すためにはどうすればいいでしょうか。

それは簡単で、天才達が作った曲の法則や傾向を徹底的に分析して、センスではなく頭で理解すればいいのです。

 

その分析データをまとめたものが「音楽理論」です。

つまり理論を勉強すれば、天才達の技術を盗むことができる。自分のセンスの無さをカバーすることが出来るのです。

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実は先程のアンパンマンは、私の作品です。

私は全くセンスの無い凡人ですが、対位法という理論を勉強したらあのような曲が書けるようになりました。勉強する前は全く書けませんでした。

完全にマスターしたわけではないので正直ちょっと恥ずかしいのですが、でも一応それっぽいものは書けるわけです。

 

多種多様なジャンルの曲を書いたアーティストと言えばビートルズが思い浮かびますが、それもどちらかと言うと、音楽学校を卒業したバリバリの理論派であるプロデューサーのジョージ・マーティンのサポートのおかげです。(作曲専攻ではないようですが…)

 

 

あ、一応付け加えますが、モーツァルトやベートーヴェンもセンスだけで音楽をやっていたわけではありません。ちゃんと勉強もしていますよ。

 

理論=センス

音楽理論はセンスの良い天才達の技を集めたものですから、理論を勉強すれば自然とセンスの良い曲が書けるようになります。

 

例えば「G7→C」というコード進行を考えてみましょう。

これは極めて基本的な進行ですが、これ以上の組み合わせは有り得ません。よって最高にセンスが良いと言っても過言ではない。シンプル・イズ・ベストです。

 

昔の音楽には「G→C」という進行しか存在しませんでした。

しかしある時センスの良い誰かがGよりもG7のほうがカッコイイことに気づき、自分の曲に取り入れ、それが徐々に他の人の作品にも広まったのです。

簡単に言えば、このようなカッコイイ技を集めたものが音楽理論です。

 

逆に、なぜ「G7→F」とか「G7→Dm」という進行が理論的に推奨されないかと言うと、カッコ悪いからです。天才はこのようなダサイ進行は使いません。

理論を勉強すれば、「G7→C」のようなカッコイイ進行を自由自在に操り、「G7→F」や「G7→Dm」のようなカッコ悪い進行を避けられるようになります。

 

「理論的な曲はつまらない」と言う人がいますが、そういう人達はきっと「G7→C」という進行が嫌いで、「G7→F」や「G7→Dm」を使いまくりたいのでしょう。

相当センス悪いですねwww

 

一旦まとめ

センスとは、法則を感じ取る力。理論の勉強とは、法則を頭で理解すること。

習得する手段が異なるだけであって、どちらも身に付ける内容は一緒です。

世間ではまるで理論とセンスは相反する概念であるかのように思われていますが、そんなことはありません。むしろ、どちらかと言うと相互補完的なのです。

 

人の曲を聞いたり、コピーするだけで全ての法則を感じ取れる天才ならば勉強など必要ありませんが、ほとんどの人間はそうではありません。

 

だったら勉強しちゃったほうが早いでしょ、という話です。

 

レジェンド

ちょっとここで、バリバリの理論派の作曲家を何人か挙げてみましょう。

 

クラシック界は全員そうですね。

「荒城の月」の瀧廉太郎先生、「赤とんぼ」の山田耕筰先生、「めだかの学校」の中田喜直先生、「シャボン玉」の中山晋平先生、「ぞうさん」の團伊玖磨先生。その他多数。

 

アニソン・ゲーム等の分野にも沢山いますよ。

ワンピースの田中公平先生、マクロスFの菅野よう子先生、仮面ライダーシリーズの佐橋俊彦先生、戦隊シリーズの渡辺宙明先生や中川幸太郎先生、ドラクエのすぎやまこういち先生。その他多数。

 

上記の先生達の作品が好きな方は沢山いるはず。もちろん私も大好きです。

彼らの作品は音楽として欠陥があるのか。理論ガチガチでつまらないのか。勿論そんなことはありません。

それがちゃんと理解できるだけの知能を持っているなら、「理論は感性の邪魔」「理論で作った曲はつまらない」などといった幼稚なデマは口が裂けても言えるはずがない。

 

理論の種類

再度閑話休題。

先程ご覧いただいた青丸の中は、実は以下のように複雑です。

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(この図は決して正確ではありませんが、初心者の方のために分かりやすく描いています)

 

真ん中にある小さな円がポピュラー理論で、コード進行に関する基礎的な知識を扱います。

ロック・ポップスはコード進行が全てと言っても過言ではありません。

 

ジャズ理論はその応用編で、スケールやテンションなど、コード理論をより深く学ぶためのものです。

「ジャズ理論」という名前だけど、ジャズを作曲・演奏することに直結するわけではないw

ポピュラー理論とジャズ理論の境目は曖昧(というか無い)なので、本で勉強する場合、どちらか一方の本がもう一方の範囲にまで踏み込んでいる場合もあります。

 

ちなみにジャズ理論までマスターしておけば、一般的な音楽活動において困ることはほぼありません。

よってここが一里塚っぽくなっていて、ジャズ理論を理解していれば、ポピュラー界という井戸の中では王様になれます。

それを悪用して、ジャズ理論までしか修めていないくせに「音楽理論講師」とかやっちゃってる人がウジャウジャいます。怖っwww

 

本当の勝負はこれから。

まだまだ余裕のある方は、和声法・対位法などのクラシック理論にも挑戦しましょう。

コード理論はマクロな視点ですが、これらを理解すると一音一音を意識して作曲できるようになると共に、今まで学んだ理論に対する本質的・根本的な理解ができます。

しかし本の値段が高く、規則が鬼のように多く、独学じゃよく分からんw

 

これらもマスターしてしまったら、一番外側の円に進みましょう。この円は本当はもっと巨大なのですが、スペースの都合上ギリギリの大きさで描いています。

ここには近現代のクラシック理論や民俗音楽の理論、その他のマニアックな理論が含まれます。

 

近現代の理論は、扱う音は鬼のように複雑ですが、まだちゃんと整備されていないので細かい規則があるわけではなく、ある意味簡単です。

しかしほとんどが絶版になっていて本そのものが手に入りません。

大枚をはたいてネットで購入するか、トレジャーハンターのように全国各地の古本屋や図書館を巡って物色するしかありません。

 

こんなところでしょうか。

つまり音楽理論とは、下手したら一生かかっても学びきれないくらいの物凄いボリュームなのです。

私が冒頭で「引き出しが増える」と言ったのはこのためです。

よく「理論を学ぶとワンパターンになる」「理論に縛られる」などと言う人がいますが、それは大嘘。全く逆です。

 

例えば東京駅から新宿駅に行く方法を考えてみましょう。

ポピュラー理論では中央線しか教えてくれません。しかし外側の円をどんどん学んでいけば、山手線・丸ノ内線・大回り・バス・タクシー・ヘリコプター・ヒッチハイクなど、様々な引き出しが身に付きます。

ロクに勉強していなければ中央線しか分からないので、ワンパターンになるのは当然。

 

また、「理論に縛られる」とは「今までは山手線を使っていたけど、中央線を教わったら中央線にしか乗れなくなった」と言っているようなものです。どう考えてもヤバイ奴です。

ガイドブックで中央線が推奨されているからといって、中央線以外に乗ってはいけないという決まりはありません。山手線のほうが良いと信じているなら、何と言われようと山手線に乗り続ければいい。

縛られるのは勉強不足と知能不足と意志不足のせいであって、理論のせいではない。

 

それに、これほど様々な交通手段を提示されたら、ルールやマナーを違反しない限り、どのように向かおうとも何かしらの理論には該当してしまいます。

よく「理論を外す」「既存の理論では説明できない」などと言う人がいますが、そんなことは「普通の音楽」では起こり得ません。

我々凡人が思い付く程度のことは、天才達がとっくの昔に全て思い付いています。

 

自由=ランダム

普通でない一部の音楽には、理論で説明できないものもあります。

先程の図をもう一度見てみましょう。

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(しかし酷い配色ですね。私には絵の「センス」は無いようですw)

 

この青丸の外側にある音楽ですね。

例えばクラシックの現代音楽は最先端の音楽なので、まだ理論化できていません。

子供がピアノの鍵盤を適当に叩いたような音も、そもそも「文法」に則っていないため、当然理論の範囲には含まれません。

 このような曲は、青丸の外側に位置します。

 

これは平仮名をランダムに並べているようなものです。

平仮名をランダムに並べても文章は出来ないように、音をランダムに並べても聞きやすい音楽にはなりません。

「理論を外す」とはこういうことで、それが必ずしも良い結果に繋がらないことは明白です。

 

音楽は決して自由ではありません。

むしろ、人に伝わるような作品を書こうと思っているならば「自由」であってはいけないし、人が理解できる時点でその作品は「自由」ではない。

「クリエイティブ」「個性的」などの言葉も同様。

 

逆に、自由でないことは全く悪いことではありません。

普段我々が聞く「普通の音楽」は、音がランダムに並んでいるわけではなく、調性やリズムといった文法でガチガチに拘束されています。

様々な制約があるからこそ、我々は音楽のゲシュタルトを認識して楽しむことが出来るのです。

制約を全部外してしまったら、先程の曲のように意味不明になってしまいます。

 

「自由」に音楽をやりたいのなら、先程のような曲をガンガンやればいい。

調性音楽などやっている場合ではない。

 

ただし言うまでもありませんが、日本語や文法という既存のツールを使った上で、何を語るかは「自由」です。

音楽も、楽器や音楽理論という既存のツールを使った上で、どんな曲を作るかは自由。

 

本を購入する

はい、これで音楽理論に対する誤解はだいたい解けたと思います。

何も案ずることなく勉強を始めましょう。

 

順番としては、先程触れたように「ポピュラー理論→ジャズ理論→クラシック理論→その他の理論」と進めるのが分かりやすいかと思います。

とは言え、勉強方法なんて人それぞれですから、これが唯一の正解ルートではありません。

 

今は初心者向けの分かりやすい理論書も沢山出版されています。新品で買う必要はないので、古本屋でパラパラと読んでみて、理解できそうだったら購入しましょう。

ただし、楽典(楽譜の読み書き)の本が「音楽理論」というタイトルで売られていることもあるので注意しましょう。

 

例えば侘美秀俊氏「マンガでわかる! 音楽理論」は、作曲理論ではなく楽典の本です。(特に1巻と2巻は)

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別にこの本や著者は一切悪くありません。冒頭で申し上げたように、楽典も音楽理論の一部ですから詐欺ではありません。

私が言いたいのは「楽典の本と作曲の本は違う」ということです。繰り返しますが、この本は全く悪くありません。

 

作曲を学びたいなら「ポピュラー音楽理論入門」とか「易しいコード理論」とか、そんな感じのタイトルの本が無難かと思います。

 

取捨選択

ただし、理論書に書いてあることを鵜呑みにする必要はないし、丸暗記する必要もありません。

なぜなら、初心者向けの本の著者はジャズ理論しか修めていない場合があるからです。

そのような本には、本質的でない説明や著者の主観が書かれていることも少なくありません。

一方、上級者向けの本には物凄く細かい規則が書かれていたりしますが、そんなの覚えきれるはずがないし、実際の曲ではそんな細かいことを必ずしも遵守できるわけではありません。

 

「あっ、そう」ぐらいの気持ちで読めばいいし、分からないところは飛ばしてもいい。

自分の作曲スタイルに合わないと思ったら取り入れる必要もありません。

 

例えば私は高校生のときに初めて理論書を買ったのですが、その本の第一章には「非和声音」について書かれており、当時の私にはサッパリ理解できず、全部飛ばしましたw

また、私は「付加46の和音」が好きではないので、一度も使ったことがない。ディミニッシュ・スケールもどうも自分のスタイルには合わない。リディアン・クロマティック・コンセプトも好きではない。

なので、知識はあるけど使いません。それだけのことです。

 

受験勉強じゃないんだから気楽にやればいい。ちょっとくらい間違えても問題ありません。

(専門用語の意味を間違えると、人と会話するときに支障がでますが…)

 

まとめ

これで終わりです。

こんな偉そうな文章を最後までお読み頂きありがとうございました。

なかなか上手く説明ができなくて、7回ぐらい書き直しました。もしかしたら今後もまだ手を加えるかもw

 

私もまだまだ修行中の身ですが、以上はこれから音楽理論を学ぼうと思っている方への、一応「ちょっと前を歩んでいる者」としてのアドバイスです。

私が今まで歩んできた道、見えた景色をまとめましたが、これから先にどんな道・景色が待っているのかは、当然ながら私にも分かりません。

世の中には私より遥か先を歩まれている方が沢山いますから、その辺のことはそのような方にお聞きください。

 

中世ヨーロッパでは、理論を理解している人を「ムジクス」、理論を理解せずにただ演奏するだけの人を「カントル」と言い、「ムジクスこそが真の音楽家で、カントルはケダモノと変わらない」と言われていました。

ケダモノだらけの世の中なんて嫌じゃないですか。皆で真の音楽家を目指して頑張りましょう。私が言いたいのはそれだけです。

 

いやー、しかし随分と長文を書いてしまいました。約1万字あります。

外出できなくてヒマだから書いたとか、別にそういうことではありません。これはちょっと前に書いてストックしておいたものです。

 

ちなみに1万字とは、芥川龍之介の「杜子春」と同じくらいです。

杜子春は修行をしても結局報われませんでしたが、音楽理論はそんなことはありません。安心して勉強しましょうw

 

え、音楽理論を勉強してみたくなった?

いいですね! では良いサイトを紹介しましょう。「音楽理論 ざっくり解説」っていうんですけど、このサイトは超オススメですよwww

www.mie238f.com