今日紹介する曲は、パッヘルベルのカノンです。
ただ単に「カノン」と言われてしまうこともありますが、カノンというのは曲の名前ではなく音楽の様式の名前です。つまりジャンルみたいなものなので、単にカノンと言ってしまうと「ロック」とか「ジャズ」とか言ってるのと同じことなので、何の曲を指してるのか全く分かりません。ちゃんと「パッヘルベルのカノン」と言いましょう。
カノンとは音楽の様式の一つだと言いました。ではどんな様式なのか。
簡単に言うと、かえるの歌です。(ところでこの曲、正式タイトルは「かえるの歌」なのか「かえるの合唱」なのか…)
最初の人が「かえるの歌が~」と歌いだしたら、次の人も「かえるの歌が~」と、同じ旋律を繰り返します。そしてまた更に次の人が…と、それがずっと続く様式のことを「カノン」と言います。
そのまんま繰り返すだけではなく、音程をずらしたり旋律を反行させたり拡大・縮小させたり、細かいテクニックは色々あるのですが、今回はその辺は触れずに先に進みたいと思います。知りたい方はこちらをご覧ください。
さて、現代ではパッヘルベルさんの有名な作品と言えばこの曲しかなく、完全な一発屋となってしまいましたが、当時は超有名な作曲家だったようです。私も他の作品は聞いたことがないのですが、もしかしたら隠れた名曲が沢山あるかもしれません。
パッヘルベルさんも今頃あの世で「なんでこれが俺の代表曲やねん!」とか言ってるかもしれませんね。
では、曲を聞いてみましょう。
ベースパートから始まりますが、これはずっと同じ音。
その後、一番上のパートが旋律を奏でますが、2小節遅れて二番目のパートがその旋律をそのまんま奏でます。さらに2小節後、三番目のパートがその旋律をそのまんま繰り返します。まさに「かえるの歌が~」と一緒ですね。
ベースパートはこちら。この2小節のパターンを延々繰り返します。
コードで書くと「D→A→Bm→F#m→G→D→G→A」となっております。状況によって多少変化しますが、基本はコレ。
このコード進行はポップスでも良く使われるので「カノン進行」と呼ばれています。ただし、先程言ったようにカノンとは曲のタイトルではなく様式の名前なので、このネーミングは個人的にはどうかと思うのですが…。
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さて、ここにメロディが次々と乗っかっていくわけですが、3声に分かれていると読みづらいですね。というわけで楽譜を1段にまとめてみましょう。
上が7小節目。下が14小節目です。綺麗に音符が並んでいますね。また、対位法ではなく非常に和声法的に書かれているのがよく分かります。
冒頭は四分音符だらけの状態からスタートしますが、このように少しずつ音符が細かくなっていって、ついに満を持してあのメロディが登場します。(1分27秒頃)
いいですね~。
この部分は「チャンチャラランチャララン」というリズムがずっと繰り返されることにより、覚えやすく親しみやすいメロディとなっています。
しかもですね、この部分はまだ曲の前半部分なんですよ。ということは、後半部分もまだまだ美しいメロディが溢れているに違いない!
と思っていると…
何で~~~~!? Σ(゚д゚;)
サビで! 縄跳び! 跳ばないの~~~~!? Σ(゚д゚;)
え、飽きた? パッヘルベルさん、もしかしてカノン書くの面倒くさくなってきた? いや、まだ半分ぐらい残ってるんですけど…。
さらにもう少し曲が進むと、今度は謎の和音が登場します。(3分01秒など)
このドのナチュラルが登場する部分は、コードで言うとGにあたります。その1拍前で使えば「D7→G」となって綺麗な響きになるのに、なぜかGのコードの場所で使いまくります。しかもシの音も同時に奏でているから、けっこう音がぶつかって汚くなってしまっているんですよ。
本などで確認してみたところ、15世紀頃にはこういった和音(というか旋法?)も使われていたようです。しかしこの曲が書かれたのは17世紀なので、一体なぜ200年も前の書き方を採用したのか…。
パッヘルベルさん、やっぱり飽きてない?
ナチュラル付ける場所間違えたでしょ。
まぁ、そんなこんなで最終的には無事にGの1拍前にもナチュラルが付き、綺麗なハーモニーを奏でながら、今まで辿った道を逆行するように、静かに曲は終わっていきます。
さて、パッヘルベルのカノンについて見てまいりましたが、いかがでしたでしょうか。意図的にしろ間違えたにしろ、大作曲家のお茶目な部分が見れましたね。
私としては…
にゃんこは必要ないのですが、是非ともスターが欲しいものですw