「コードはもう完璧に覚えたぜ! でも作曲する上で、これをどう並べたらいいかが分からないんだよなぁ…」
そんなあなたにお届けするのが今日のテーマ「コード進行の規則」です。
「やべ、俺コードまだイマイチ分からないんだよなぁ…」という君は、これを読んでからもう一度来てね。
結論から言ってしまうと、コード進行は「自由」です。そして一番の練習方法は、人の曲を弾き語りしまくることです。今はネットでいくらでも曲のコードを調べることが出来ます(けっこう間違ってますが…)から、それで自分の好きな曲を100曲とか200曲とか練習すれば、いつの間にかパターンが分かるようになっています。
はい、解説終わり!
…と言いたいところですが、初心者の方はそう言われても逆に困ってしまいますよね。というわけで、コードがどういう規則によって並んでいるのかをざっくりと解説いたします。
スポンサーリンク
3つの役割
まず、コードは大きく分けて3つのグループに分類されます。
トニック(T)、ドミナント(D)、サブドミナント(S)です。
(初心者の方に聞き慣れない単語を3つも覚えさせるのはなかなか酷だと思うのですが、これを最初に言っておくと後々の説明が楽なのでご了承ください)
ハ長調で考えてみましょう。ハ長調の音階上(ドレミファソラシド)の各音に3度ずつ音を積み重ねていくと、次の7つの和音が作れます。
この中で、一番偉いのはCです。なぜならハ長調音階の始まりの音であるドをルートに持つからです。このCのコードはトニックに分類されます。トニックは曲の主役です。
二番目に偉いのはGです。Gはドミナントに分類されます。ドミナントはトニックに進みたがる性質があります。
三番目に偉い…かどうかは分かりませんが、Fのコードはサブドミナントに分類されます。サブドミナントはトニックとドミナントの中間みたいな性質です。
トニックは主役なので、曲のいたるところに登場します。曲の始まりや終わりもトニックです。主役なので、次にどんなコードにも進むことができます。
サブドミナントは先程言ったようにトニックとドミナントの中間の性質を持つので、どちらとも親和性があります。サブドミナントも、余程変なコードでない限りどんなコードにも進むことができます。
ドミナントは、トニックに行きたがる性質があります。トニックしか眼中にありません。よってドミナントはトニックにしか進めません。
以上をまとめると、コード進行には次の3つのパターンがあることが分かります。
T→D→T T→S→T T→S→D→T
この3つのパターンを、専門用語で「カデンツ」と言います。この3つのパターンを組み合わせていくことで曲が作られます。トニックのところにC、ドミナントのところにG、サブドミナントのところにFを当てはめていくだけです。
例えばこんな感じです。
これに適当にメロディを乗っければ、早くも一曲完成です。
簡単でしょ?
コードに7や9などの数字を付けてももちろん役割は一緒ですよ。よく使われるのはG7ですね。Gには元々シの音が含まれていますが、そこに7thの音であるファを足してあげます。このシとファの関係のことをトライトーンと言うのですが、これを含んでいるコードはトニックに行こうとするパワーがアップします。
よって、ただのGよりもG7のほうがトニックへ自然に流れます。
質問コーナー
…え、ドミナントがトニックにしか進行できない理由が分からない?
え~っと、これは感覚の問題なので、理由とかは特にありません。
古今東西の曲はだいたいドミナントの後はトニックに進行するので、我々の耳にはその進行が刷り込まれています。よって、ドミナントが来るとどうしても次はトニックを期待してしまうし、逆にトニック以外に進行されると違和感がある、ということです。
ドミナントからトニックに進行する最も簡単な例はこれです。音楽の授業で礼をするときの「アレ」ですね。実はこの曲は「C→G→C」という最も基本的なコード進行から出来ているのです。
もしこの曲が、Gの次にCではなく全然違うコードに行ったらどうなるでしょうか。
はい、放送事故ですw 音楽の授業でこれを弾いたら皆そのまま前方にコケてしまいますねw
今の進行とさっきの進行、どちらが曲として自然であるかは言うまでもないでしょう。そういうわけで、ドミナントが来たら次はちゃんとトニックに進行したほうがいいのです。
(中には「これはこれで有り」と感じる方もいるでしょう。実は厳密にはこの進行はルール違反ではありません。しかし今回は基本部分の解説なので、そこまで深入りはしません)
音楽理論と言うと難しく感じるかもしれませんが、要は自然なほうを選びなさいというだけのことです。逆に言えば、前衛的な曲を書きたい場合は不自然なほうを選べばいいのです。難しく考える必要はありません。
代理コード
だいぶ横道に逸れてしまいましたが次に行きましょう。
コードを3つしか使わないというのもちょっと寂しいですよね。さっきの音階上の和音、まだ紹介してないやついっぱいあるし。
ではここで、必殺技を伝授いたしましょう。その名は「代理コード」です。
これは、音の構成が似ている和音は同じグループに所属させて、元のコードの代理として使ってしまおう!という、何とも都合のいいシステムです。
例えばさっきの音階上の和音で言うと、DmはFと共通した音が2つ(ファとラ)あるので、サブドミナントに所属させてしまいます。同様に、EmはCと似ているのでトニック、AmはCと似ているのでトニック、Bm(-5)は特殊なので覚えなくていいのですが、一応ドミナント、という分類になります。
ちょっと複雑になってきたので一旦まとめましょう。
トニック … C , Em , Am
サブドミナント … F , Dm
ドミナント … G , Bm(-5)
ということです。
CとAm、FとDmを弾き比べてみましょう。「m」という名前の通り、本家の和音よりも暗く寂しい雰囲気がありますよね。C・F・Gだけでは明るいだけのお気楽な曲になってしまうので、AmやDmのような変化球を適度に挟むことで曲にメリハリがつきます。
これもさっきのカデンツに従って並べていけば曲になります。例えばこんな感じです。
使えるコードが増えたので、一気に本格的な曲っぽくなりましたね!
初心者の方は、まずはこの6つのコードを使って8小節とか16小節の短い曲を作ってみましょう。Bm(-5)は慣れるまでは使わないほうがいいです。と言うか、慣れてきても使いませんw
まとめ
ではここまでに勉強した規則を復習しましょう。
まずコードはトニック・ドミナント・サブドミナントのいずれかに分類することができ、基本的にはどう進行しても構わないのですが、ドミナントからサブドミナントにだけは進行することができません。(つまり、G→Fや、G→Dmのような進行はダメ)
あともう一点、これは先程は説明しませんでしたが、同じ機能の代理コードから本家のコードに進行するのは無しです。つまり、C→Amは可能だけどAm→Cはダメ。F→Dmは可能だけどDm→Fはダメ。(Dm→CやAm→Fは機能が違うから可能)
しかし…残念なお知らせですが、これらの規則は全てザル法です。
なぜならこれらの規則はクラシックの理論が由来なのですが、元々クラシックを何でも有りにしたのがポップスですから、ポップスにおいてはこれらは意味を成しません。正しくは次のようになります。
・GからFに進行してはいけない(ま、別にいいけどね)
・AmからCに進行してはいけない(ま、別にいいけどね)
意味ねー( ̄д ̄;)
ただし、規則を破りすぎるとグダグダな曲が出来上がるので、初心者の方はむしろちゃんと規則を守りましょう。
~追記~
上記の内容をもう少し詳しく具体的に説明してみました。
後編では新たなる必殺技「ノンダイアトニックコード」を解説いたします。お楽しみに。