音楽理論 ざっくり解説

音楽理論をざっくり解説します。最低限のポイントだけ知りたい方へ

武器商人トルネコ(ドラクエ)

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今回解説する曲は、ドラクエ4の第3章フィールドBGM「武器商人トルネコ」です。

早速聞いてみましょう。


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緊迫感のない曲ですねw

長閑で落ち着いた感じの第1章、ウキウキと飛び跳ねるような第2章、悲壮感漂う第4章、トボトボと孤独な感じの第5章など、ドラクエ4のフィールド音楽はそれぞれメインキャラクターの性格や設定をよく表しています。

 

第3章は他の章と比べてちょっとミニゲームっぽい要素がありますから、そういう意味ではよくマッチしているのですが、単純に音楽だけを聞くとかなり異質。

知らない人が聞いたら、町のBGMか何かだと思いそうw

 

ベースが主旋律

何と言っても特徴的なのは、ベースパートがメインメロディになっていることです。

この低音のメロディは、トルネコのあの体形を表しています。

 

作曲者のすぎやまこういち先生は「この曲をオーケストラで演奏するときは、コントラバスの人達が張り切るんだよ。コントラバスが主役になる曲は『動物の謝肉祭』くらいで、あとはほとんど無い」と語っています。

 

ちなみに、すぎやま氏が言っているのは「動物の謝肉祭」の「象」のこと。


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たしかにw

「トルネコのテーマのボツ曲です」と言われても信じてしまいそうw

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Aメロ

まずはAメロから見てみましょう。

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先程も触れたように、全く緊迫感のない、とてもRPGのフィールド曲とは思えないフレーズですね。

 

まぁそれ自体はここではあまり関係ないのですが、Aメロ3小節目からはこのフレーズを2度上げたような形が登場します。

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一瞬Dメジャーに転調したのかと思ってしまいますが、よく聞いてみるとコード進行は「D7→G7→D7→G7」となっており、一応Cメジャーの範囲内です。

 

しかし、5小節目で正真正銘A♭に転調。

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6小節目からはまたCメジャーに戻る。

なぜこんなにコロコロとキーが変わるのでしょうか。

 

トルネコは世界一の武器屋になるという夢を持つオッサンです。

その夢のために東奔西走し、様々な商売(や犯罪)に手を出します。

 

つまり、このAメロ部分は日中トルネコが多数の仕事を一生懸命こなす様子が表現されていると考えられます。

 

Bメロ

夜になって仕事が終わると、トルネコは家に帰ってきます。

Bメロ部分(0分24秒頃から)は高音パートと低音パートの掛け合いになっており、トルネコと妻ネネが会話している様子が表現されています。

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しかし、よく見て下さい。

楽しそうに話すネネの高音パートに対して、トルネコの低音パートはいたってシンプル。

この後もコードのルート音しか奏でておらず、話し合うと言うよりは、ネネの言うことに対して「うん、そうだね」と返事しているだけです。

 

トルネコは楽しくないのでしょうか?

 

いえ、そういう訳ではありません。

ゲームをプレイした方ならお分かりでしょうが、ネネはあちこち冒険してばかりのトルネコに代わって実質一人で店を守り、商品を他店の1.5倍ほどの値段で売ってしまう人物です。

また、エンドールの街だけでなく、スピンオフ作品「トルネコの大冒険」の村でも店を成功させてしまうほど商売の才能があります。

 

そんな商売の鬼に「あなた、次はこうしましょう!その次はこうしましょう!」と言われたら、トルネコは黙って頷くしかないのです。

 

夫婦の会話が終わると、0分35秒頃からまた朝(Aメロ)がやってきます。

トルネコは今日も仕事に出かけます。

 

 

今回は「武器商人トルネコ」について解説いたしました。

トルネコと言えばドラクエ4…いや、ドラクエシリーズの中で一番の役立たずキャラですが、まさか私の解説のネタとして役に立ってくれるとは思いませんでしたw