音楽理論 ざっくり解説

音楽理論をざっくり解説します。最低限のポイントだけ知りたい方へ

ピアノでコードを弾く(ソロ)後編

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ピアノでコードを弾く(ソロ)後編です。

前編「ピアノでコードを弾く(ソロ)前編」では基本的な理屈や連結方法について学びました。後編では具体的なパターンを色々と紹介したいと思います。

 

リズムが大事

いくらコードの知識があっても、下譜例のような演奏をしてしまったら台無しです。

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もちろん意図的にやる場合は構わないのですが、ただ単にリズムのバリエーションが無くてこうなってしまうのは最悪です。ほとんどのポピュラー音楽はリズムが大事ですから、ちゃんと工夫して弾きましょう。

 

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このように、左手を少しズラすだけでもニュアンスがかなり変わります。どちらもよく使われるパターンですが、特に下側(八分・四分・八分のパターン)は次のような有名曲でも見られます。 

 


Let It Be (Remastered 2009)

 

静かなバラード曲だったら以上のパターンだけでも充分対応できます。

初心者の方にはこれだけでも難しいと思います。左手と右手が違う動きをするなんて信じられませんよね。しかしこれは完全に「慣れ」です。何度も言いますが、車の運転だってゲームだって手はバラバラに動いています。楽器だけが特別なわけではありません。

出来ないのは、この動きが脳にプログラミングされていないからです。プログラミングするためには、とにかく遅いテンポから始めて、脳に徹底的に覚え込ませることです。遅いテンポで出来るようになれば、必ず速いテンポでも出来ます。

それと、ピアノは必ず両手で練習して下さい。聞いたところによると、ピアノを片手で弾いているときと両手で弾いているときでは、使用する脳の領域が違うらしいです。つまり、片手ずつ練習するのは意味がありません。

 

話を戻しましょう。16ビートでリズミカルに弾きたい場合は、次のようなパターンが使えます。

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16ビ-トは8ビートに比べてリズムのバリエーションが沢山あるので、細かい部分をどう弾くかは人それぞれです。上の譜例はあくまで一例です。

ただ、格好良く聞かせるコツとしては、どちらかの手にシンコペーションを入れること。そして、そのシンコペーションによるリズムの崩れを埋めるようにもう片方の手を入れることです。

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譜例1のように、両手で同じリズムを弾いてはいけません。勿論キメの部分などでやるのは構わないのですが、普段これをやったらダサいです。

譜例2では、右手がシンコペーションで複雑なリズムを弾いたために、2拍目の頭に音が不在となってしまっています。ここを埋めるように左手を入れてあげます。すると「タータ ズッターン」というリズムが出来上がります。この「ズッターン」が格好良いのです。

譜例3はさらに細かく、八分音符で埋めています。つまり、右手パートで1拍目の裏が不在になってしまっているので、左手でそこを埋めているのです。

このような細かい音符は、他の音符と同じような音量で弾くとクドいので、音量を抑えて軽く「チャッ」と弾きます。ドラムで言うゴーストノートですね。私もゴーストノートは多用しています。多用しすぎて自分でもどこに入れているのか分からない程ですw

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アルペジオ

今まで右手は全て和音でしたが、勿論それ以外も弾くことができます。まずはアルペジオを見てみましょう。

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これも弾き方は人それぞれです。

 

オブリガート

ポルトガル語で「ありがとう」という意味です。お客さん・スタッフさん・メンバー、全ての人に感謝の気持ちを持って演奏しましょう。

 

…すみません。それはオブリガー「ド」です。今から説明するのはオブリガー「ト」です。

オブリガートとは、なかなか説明が難しいのですが、歌の合間にちょこっと弾くフレーズのことです。助奏・裏メロ・オカズ・オブリなどとも呼ばれます。

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この「ミドシ」の部分がそうですね。和音と同時にメロディも奏でられるのが、ギターにはないピアノの長所です。

 

これと似たようなテクニックですが、普段の演奏にちょこっと動きをつけることも出来ます。

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和音一辺倒だとつまらない演奏になってしまうので、こういった動きを適度につけることによってマンネリを回避することが出来ます。

 

ソロを弾く

オブリガートの考え方を発展させて、次はソロを弾く場合を考えてみましょう。

ソロで注意することは2つ。音量を少し大きくすることと、コード感をなくさないようにすることです。

音量の点は説明しなくても分かりますね。間奏では「歌」という一番目立つパートが消えてしまいますから、今まで通り弾き続けると全体の音量が下がってしまいます。よって、少し大きく。(特にライブの場合)

欲を言えば、左手の音量はそのままで、右手だけ少し大きくすると、どれが主旋律なのかが分かりやすくなります。

 

次にコード感です。これは人や状況によって定義が色々ありますが、ここでは「何のコードなのか認識しやすい状態」みたいな意味だと思ってください。

次の演奏を聞いてみましょう。

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1小節目がサビ終わり、2小節目が間奏の始まりだとしましょう。

「ドレミファソー」というフレーズを弾きたいのですが、上の例では間奏に入った途端、左手・右手ともに単音になるので演奏が寂しくなってしまいましたね。

 

これを避けるために、右手はソロのフレーズを弾きながらも和音を混ぜることになります。

音価の長い音符を使ったソロだったら、一つ一つ和音で弾くことも可能ですね。

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曲のテンポにもよりますが、八分音符だったら、無理のない範囲で和音を入れましょう(下譜例左)。3音ではなく2音にすれば一つ一つ入れることも出来ますね(下譜例右)。

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さらに細かくなるとちょっと困りますね。先程と同様、無理のない範囲で入れるというパターンもありますが、流石にこれだと単音とあまり変わらないので、演奏が寂しくなってしまいます。

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そんな時は、左手でコードを弾くのも一つの手です。

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上級者になると、左手を2パートに分けて演奏したり(下譜例左)、今まで右手が弾いていた辺りの音域まで大きく移動することもあります(下譜例右)。

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このように、音量やコードの面で演奏が急に寂しくならないように工夫することが大事です。

コツとしては、コードの第3音(Cコードのミ)を入れることです。前編でも少し触れましたが、第3音はメジャーなのかマイナーなのかを判別する大事な音です。これが含まれていれば、コードが認識しやすくなって演奏に厚みが出ます。

(一応お伝えしておきますが、意図的に音量や和音を薄くしたい場合は以上のように弾く必要はありません)

 

左手はそえるだけではない

さて、今までの例では左手はほとんどルート音を弾いていましたが、勿論それ以外の音を弾いても構いません。

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オクターブで弾いたり、5度の音を入れたり、アルペジオで弾いたり、ジャズ風の曲ではウォーキングベースを弾いたり。左手はベース担当なので、エレキベースがやることはだいたいピアノの左手でもやります。

エレキベースの弾き方について知りたい方はこちら「ベースは何を弾けばいいのか 前編」をご覧下さい。

 

しかし一番大事なのは、エレキベース同様リズムです。

先程紹介したようにゴーストノートを入れたり、或いはスタッカートやテヌート、次で解説する強弱などを駆使してリズムを表現します。

ピアノがあまり上手くない人の左手は「右手のついで」になってしまっています。それに対して上手い人は、左手が独立した楽器のようであり、それでいて右手とちゃんと対話が出来ていて、しっかりとグルーヴを出しています。(抽象的なことしか言えなくて申し訳ないのですが…)

 

高音低音・強弱

最後にこれを説明して終わりにしましょう。

ギターはエフェクター、或いはピックアップを切り替えることで簡単に音色を変えることが出来ますが、ピアノはそんなこと出来ません。

音の3要素は「高さ・強さ・音色」です。ギターはこの3次元空間を動き回れるのに対して、ピアノはそれを正射影した平面上しか動けません。しかしその平面は他の楽器と比べてかなり広いので、それをフル活用することによって2次元でも3次元っぽく見せることが出来ます。

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ピアノの高音はオルゴールのように弾くこともできるし、固いノイズのような音にもなります。低音は巨人の足音のようにズッシリしていて、ファゴットのようにもティンパニのようにも弾くことができます。クラスターでノイズを出すこともできます。大きな音は迫力があるし、小さな音は上品で可愛い雰囲気になるし、小さな音で不協和音を奏でれば不気味な雰囲気も出せます。

高音・低音を様々な弾き方で聞いてみましょう。

このように、弾き方を変えることで音色が変化しているかのように見せることができます。ペダルを上手く使えばさらに多彩な表現が可能です。

 

今回の解説は以上です。

先生…ピアノが弾きたいです…!