音楽理論 ざっくり解説

音楽理論をざっくり解説します。最低限のポイントだけ知りたい方へ

プレゼント(JITTERIN'JINN)

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今回解説する曲は、ジッタリンジンの「プレゼント」です。早速聞いてみましょう。


ジッタリン・ジン / プレゼント ( Jitterin’ Jinn / Present )【MV】

 

この曲を聞くと、若者は「何でこんなにプレゼント貰ってるんだよw しかも本命じゃないのにw」という野暮な突っ込みを入れてしまうようです。

こんなに色々と貰える理由は簡単で、この曲が発売されたのは1990年、つまりバブルだったからです。そういう時代だったのです。

 

Aメロ

Aメロは至って単純。4小節をひたすらループするだけ。使っているコードも単純で、子供でも作れそうですね。

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ここは特に解説ポイントは無いので、とっとと次に行きましょうw

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サビ

この曲の大事な部分はここです。

次から次へとプレゼントを貰っていたので、すっかりその気になっていたのですが、ここで衝撃の事実が発覚。

「大好きだったけど 彼女がいたなんて」

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3小節目のコードはA7です。

Aメロで延々と単純なループを聞かされて、正直ちょっと飽きていましたが、ここで満を持してノンダイアトニックコードが登場するのです。

 

ここがA7ではなく、普通のAmだったらどうなるか。ちょっと聞き比べてみましょう。

前者がAm、後者がA7です。

Amではそれほど驚いた様子がありませんね。「ふ~ん、彼女いたんだぁ~」って感じです。

それに対してA7のときは、まるで世界が終わってしまうかのようなショックを受けています。

歌のメロディにノンダイアトニックノートであるド#を使用しているので、余計にそれを感じます。

 

さらに、A7が登場したということは、当然その次に来るコードはDmですね。これは主和音のFに対する平行短調の和音、つまり暗い響きです。

衝撃と悲しみをたった2つの和音で表しています。

 

 

…え、原曲はそれほど悲しい曲には聞こえない?

あ~、それはテンポが速いからですね。試しにテンポを落として聞いてみましょう。(動画冒頭でも似たようなものが流れますが)

はい、見事に悲しい曲になりました。

 

彼女がいることが発覚したその日の夜、主人公の女性は彼から貰った物を捨てることを決意します。

しかしプレゼントされた物を手にとる度に、どうしても当時の思い出が蘇ってしまいます。

彼はいつも優しかったし、遊びにも連れていってくれたし、何でも買ってくれた。そんな彼が大好きだったけど、まさか彼女がいたなんて…。

 

表向きはスカのリズムで気丈に振る舞っていますが、心の中は悲しみで満ちているのです。

 

ちなみに3番のAメロは「あなたが私にくれたもの あの日生まれた恋心」と言って締めます。

物は沢山貰ったけれど、結局は貴方に出会えたことそのものが何よりも嬉しかったということです。

 

間奏

ちょっと時系列が前後してしまいますが、2番で「あなたが私にくれたもの バディ・ホリーのドーナツ盤」という歌詞が登場します。

バディ・ホリーとは1950年代に活躍したアメリカの歌手で、ドーナツ盤とは(バブルすら知らない若者のために一応説明しますが)レコードのことです。

 

原曲の間奏終わり(3分25秒頃から)で、ギターがジャカジャカとストロークを奏でていますが、これはバディ・ホリーの「ペギー・スー」という曲のイントロのパロディのようです。


Buddy Holly - Peggy Sue HQ

あまり似ていないから分かりづらいですね。

このタイミングでこれを入れるということは、おそらく捨てる前にもう一度レコードを聞きたくなったのでしょう。

 

 

さて、今回はジッタリンジンの「プレゼント」について解説いたしました。

曲中では、女性が「あんなにプレゼントくれたのに、彼女がいたなんて…」とショックを受けていましたが、世のモテない男性(俺)は「あんなにプレゼントあげたのに、彼女になってくれないなんて…」というパターンがお約束で、そちらのほうが余程ショックですよねw