今回解説する曲は、ディズニー映画「アラジン」の「A Whole New World」です。様々な言語のバージョンがありますが、とりあえず私は英語版が一番好きなのでそれをペタリ。
お前ら、イチャイチャすんなw
しかし素晴らしい曲ですね。作曲はディズニー映画の音楽をいくつも手掛ける巨匠、アラン・メンケン氏です。
早速解説に入りますが、まずはイントロ途中(0分15秒頃)から音がどんどん高くなっていきます。これによって魔法の絨毯がぐんぐんと空高く上がっていく様子を表しています。(ちなみにサントラバージョンではこのイントロは使われていません)
そのままAメロに突入し、一番はほとんどアラジンのパートです。Aメロ1、Aメロ2、それからサビの前半部分までずっとアラジンが歌う。そしてサビの後半部分になってやっとジャスミンが歌い出します。
歌い出すのは1分8秒頃。途中「Ah」とか「Oh」とかは言うものの、まともに喋るのは0分6秒で「Yes」と言って以来です。その間ずっとジャスミンは黙っていました。
アニメの尺では1分2秒間ですが、絵を見る限り二人はけっこう遠くまで飛んでいるようなので、現実時間に換算すると相当長い時間黙っていたことになります。
なぜジャスミンはずっと黙っていたのか。
答えは簡単で、怖かったからですw
スポンサーリンク
もちろん空を飛ぶのも怖かったでしょうが、それ以上に怪しい男と二人きりになったのが怖かったのです。
「あ~、なんかコイツ服装は高貴だし顔もイケメンだけど、なんか教養ないし言葉も下町風だし。I can show you the world とかI can open your eyes とか調子の良いこと言っちゃってるけど、やっぱり誘拐だったのかな~。騙されたかな~」
そんなことを考えていたのです。
しかし今まで見たことない景色、まさに「A Whole New World」があまりにも素晴らしかった(しかも魔法の絨毯に乗っている)ので、ついに心を許してしまったのです。
サビの3~4小節目、アラジンが歌っている1回目はコードがAとDしか使われていませんが、ジャスミンが歌っている2回目はF#/A#を挟み「ラ→ラ#→シ」という半音進行を作ることによってジャスミンの胸の高鳴りを表しています。
ところでこの曲、サビの最初のコードがAなんですよねー。ドミナントから始まる曲って珍しいですね。私も昔1曲だけ作ったことがありますが、正直あまり出来は良くありませんでした。
アラン・メンケンがこれを狙って作ったのか、それとも偶然できてしまったのかは分かりませんが、やはり一流の先生が作ると素晴らしい作品になるものですね。
話を戻しましょう。
その後、Fに転調して2番に突入しますが、今度は逆にずっとジャスミンのパートです。途中でアラジンが「Don’t you dare close your eyes」とか「Hold your breath」などとワンポイントアドバイスを送るのですが、それには返事もせずにひたすら自分が見た景色に対する感動を喋りまくります。
こういう女性、いますよねw どうやらジャスミンはこういうタイプのようですw
ジャスミンが一通り喋り終わって満足するとサビが終わるのですが、サビの最後のコードはDmです。
本来ならここはFになるはずですが、明るいFではなく、暗い響きのDmを使っています。
魔法の絨毯の旅はもう終わり。ジャスミンは城に帰らないといけないし、アラジンも魔法が解けてみすぼらしい泥棒に逆戻りです。このまま永遠に夢の世界にいたいのに、時間は止まってはくれません。
まさにディズニーランドで夜のパレードが終わった後、こういう気持ちになりますね。そんな二人の気持ちを「Dm」というたった一つの和音で表しています。
二人は今夜の出来事を噛み締めながら、曲は静かに終わります。
さて、今回は「A Whole New World」について解説いたしました。
ちなみに日本語版だと、アラジン役の声優は90年代にワイドショーをお騒がせした「あの人」です。若い方はもう分からないでしょうね。(歌の部分は石井一孝さんという全然違う方がやっているので、お間違いなく)
日本語版では動画冒頭の「Do you trust me?」が「僕を信じろ」という訳になっているのですが、あのお騒がせタレントが大真面目にこの台詞を言っていると思うと笑ってしまいますw