音楽理論 ざっくり解説

音楽理論をざっくり解説します。最低限のポイントだけ知りたい方へ

フラメンコ 後編

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フラメンコ 後編です。

前編「フラメンコ 前編」ではフラメンコの歴史や音階について勉強しました。後編では補足説明と、あとリズムについて解説いたします。

 

コード進行

フラメンコはどちらかと言うと旋律・テクニック重視の音楽なので、難しいコード進行は使われません。

前編でちらっと触れましたが「Am→G→F→E」とか「Dm→C→B♭→A」のような単純な形がほとんどです。あとはAmとEを繰り返したり、FとEを繰り返したり、E一発で何小節も引っ張ったり、あとはたまにDmやB7やF7なんかを挟んだりします。

転調は、たまにメジャーに行って「C→G→C→G」とやってから再び「Am→G→F→E」に戻る、ということはありますが、遠い調に行ったり、遠いコードを挟むということはあまり有りません。

あ、ただし半音進行のために遠いコードを挟むことはあります。例えば「G→F#→F」みたいなやつですね。

 

ちなみに前編でお伝えしたようにフラメンコはフリギア旋法を使うのですが、曲をよく聞いていると「これは確かに最後だけEで終わっているけど、それ以外は完全にAmの曲調だよね…」というものが多々ありますw

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メロディ

フラメンコと言えばコードをジャカジャカ鳴らして、増2度音程を使ったメロディが特徴的! と思われるかもしれませんが、実はそうでもありません。

確かに歌とギターで演奏するときはコードをジャカジャカやるのですが、ギターソロのときは主に旋律とベース音を弾くので、我々が思っているほどジャカジャカやるわけではありません。

 

旋律とベース音のパターンとしては、旋律を弾きながら簡単なベース音を弾くタイプ。(以下、譜例は全て私が適当に作ったものです)

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高音をトレモロしながらベースが細かく動くタイプ。

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これ以外に低音と高音が同時に複雑に動くタイプもありますが、もはや人間には不可能な指の動きですw

あとは旋律のみを単音で弾くこともあるし、コードを押さえて弦を1本ずつアルペジオで弾くこともあります。

 

コードをジャカジャカやるときは、前編で紹介したようなフラメンコ独特の押さえ方を用いますが、通常の押さえ方の場合もあります。どのように使い分けているのか、そこまでは私にも分かりませんが、おそらく強調したいときにフラメンコの押さえ方を用いるのではないかと思います。

 

増2度音程は、我々が思っている程には使われません。

もちろん中にはテクニック自慢をするような曲もありますので、「お前は熊蜂の飛行でも弾いてるのか!」と突っ込みたくなるような速さで、増2度を含むスケールを行ったり来たりする場合もあります。

↑こんなやつ。

 

しかし本来のフラメンコには増2度音程はそれほど登場しません。前編でも触れましたが、本来あれはラに進行しやすくするためにソを半音上げているだけで、別に「ファ→ソ#」という響きを楽しみたいわけではないのです。ソが#なのは、ファのためではなくラのためなのです。

 

リズム

さて、いよいよコレについて解説しなければいけません。実はフラメンコのリズムはとても複雑です。おそらくアラブ・アフリカの影響ではないかと思うのですが、とにかく私のようなちょっと勉強しただけのド素人が理解できるような代物ではないのです。

 

私が理解できた範囲で何となく説明しますが、フラメンコのリズムは大きく分けて4拍子系と3拍子系があります。

まず4拍子ですが、これはそれほど難しくありません。普通の4拍子と同じようにカウントすることができます。フラメンコの中で「タンゴス」とか「タラント」と呼ばれる曲は4拍子です。

 

問題は3拍子です。

3拍子と言っても、例えばワルツのように「ズンタッター、ズンタッター」と弾いてくれれば何も難しくはないのですが、フラメンコは変なところでコードチェンジしたり変なところにアクセントを入れたりするのでリズムが物凄く取りにくいのです。

 

変なコードチェンジの例

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変なアクセントの例

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これは3拍子と言うよりは「4+2」なんじゃないだろうか…と思う曲が多々あります。

実際、フラメンコでは「3拍子×4小節」を「3+3+2+2+2」のように数えているらしいのです。よって、これは3拍子ではなく、一般的には「12拍子」と言われます。

しかも、先程言ったようにアクセントが変なところに来ます。

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このように、赤線部にアクセントを置いてカウントするようです。

一段目のパターンは小節の後ろ側にアクセントが来ているのに対し、二段目のパターンは数字をずらすことによってアクセントが小節頭に来ていますね。これ以外にも様々なリズムが存在します。

 

自分でリズムを取るだけなら、ちょっと練習すれば難しくはないかもしれません。しかし実際の曲に合わせてリズムを取ろうとすると、どこが1拍目なのかさっぱり分かりません。

試しに、小節頭にアクセントが来るパターン(二段目)を聞いてみましょう。


Bulerias Guitar with Palmas

 

最初のうちは数字が表示されるので今が何拍目なのかが分かりやすいですね。しかし数字が消えた途端パニックになりますw

数字の通りにカウントし続けられたとしても、ギターも手拍子も好き勝手に弾いているようにしか聞こえないので、果たして本当にこれであっているのだろうかと不安になりますね。

 

 

さて、今回はフラメンコについて解説いたしました。

この難解なリズムをマスターするために、いつか本場のフラメンコギタリストに弟子入りしてみたいものです。

 

あ、でも俺スペイン語全く分からねーやw