音楽理論 ざっくり解説

音楽理論をざっくり解説します。最低限のポイントだけ知りたい方へ

アフリカ音楽 後編

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アフリカ音楽 後編です。

前編(アフリカ音楽 前編)ではリズムについて学びました。後編ではメロディとハーモニーについて何となく見てまいりましょう。

 

メロディ

まず音階ですが、西洋音楽で言うところの長音階に近いもの、短音階に近いもの、ドリアンスケールに近いもの、五音音階に近いものなど色々あり、とても「アフリカっぽい雰囲気を出すにはこのスケールを使え!」と一言では言えません。前編でも言いましたが、アフリカはとてつもなく広大なので当然です。

 

ピッチは平均律とはかなり異なります。全ての民俗音楽に言えることですが、採譜しようとすると、だいたいどこかしら高かったり低かったりするので苦労しますw

どんなピッチを採用しているかは地域や民族によって一つ一つ異なるのですが、自然倍音列をルーツにしているためか、一般的には、長音階で言うところの3度と7度の音が低いパターンが多いようです。

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クラシックやポップスのように音階上の全ての音を縦横無尽に駆け回る曲も中にはあるようですが、だいたいの曲は主音と属音、及びその近辺の音をちょこちょこ行ったり来たりするだけのシンプルな曲が多いです。日本の童歌なんかも、使う音はあまり多くないですよね。それと一緒です。

 

構成としては、コール&レスポンスの形になっている曲が非常に多い。つまりリードボーカルが何か歌って、それに応答する形でコーラス隊が入る、という形ですね。

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つまり、アフリカっぽい曲とはこんな感じでしょうかw

www.youtube.com

 

ハーモニー

次にハーモニーについて見てみましょう。

何度も言いますがアフリカは非常に広大ですので、ハーモニーを持つ民族もいれば持たない民族もいます。ではハーモニーを持つ民族はどうやってハモっているのかと言うと、平行4度(下譜例1)、もしくは平行3度(下譜例2)で歌うようです。

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また、譜例3のように3パートに分かれて歌う民族もいるようです。(譜例1~3のメロディは全て私が適当に書いたものです)

私が聞いた限りでは3度の曲が圧倒的に多いように思うのですが、私が聞いた曲なんて大海の中の一滴に過ぎないでしょうから、本当の割合はよく分かりません。

 

ハーモニーを奏でるにあたって、コード進行とか禁則とか、そういう面倒なルールはありませんので、何も気にすることなく音符を置いていって下さい。そもそもコード進行というのはヨーロッパ音楽のローカルルールですから、アフリカには何の関係もありません。

ただ、合唱ではなく、楽器(ムビラとかコラとか)で伴奏する曲の場合、T→S→Tの進行が比較的多いかな、という印象があります。まぁこれも、たまたま私が聞いた曲がそうだっただけ、という可能性もありますが…。

 

しかしこうして並べてみると、やはりブルースとの類似点が非常に多いですね。

6拍子のリズム(ブルースは12小節で一つのまとまり)を用いること。3度と7度のピッチが低いこと。T→S→Tの進行が多いこと(ブルースは12小節のうち10小節ぐらいはTとSで出来ている)。

 

ハーモニーの付け方

アフリカの人達が一体どうやってハモリパートを考えているのか、詳しいことは分かりませんが、論理的にアプローチする方法はいくつかあります。

その中の一つが「アフリカ人は主旋律に対して音階上の一つ飛ばした音をハーモニーとして歌う」というものです。説明だけ聞いても意味が分からないと思うので実際に見てみましょう。

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このように、主旋律がドだった場合、その隣の隣にあるミの音、つまり「一つ飛ばした音」をハーモニーとして採用するということです。

  

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その法則を7音音階に当てはめれば3度のハーモニーが出来上がるし、5音音階などに対して当てはめれば4度のハーモニーが出来上がります。

この法則はアフリカ音楽研究家が提唱した説なので、別にアフリカ人が自ら「俺達はこうやってハーモニーを作っている」と言ったわけではありません。しかしアフリカにはムビラやバラフォンなど鍵盤楽器が色々存在しますから、もしかしたら本当に同じことを考えているかもしれません。

 

また、アフリカ人はどうやら「一つ飛ばした音」を、ハーモニーではなく主旋律の一つとして考えている可能性があります。

我々の常識から言えば、歌には決められた主旋律が一つだけ存在し、それ以外はハモリパートとなります。また、メインボーカルが主旋律以外の音を歌った場合は、元のメロディに対するアレンジバージョンであると考えます。

しかしアフリカの人は、ハモリパート(例えば、ドに対するミやソなど)も主旋律と考えている。つまり「ハモっている」という意識ではなく「移調(?)して歌っているだけ」のようなのです。

 

さらに、3度上や5度上の音も主旋律として考えているならば、メインボーカルの人もドミソの中のどの音を選んで歌っても構わないということになります。例えば「ドレミー」と歌うところを「ミファソー」と歌うなど。

アレンジしているわけではなく、どちらも正解なのです。

事実、アフリカの民族の中には、主旋律をその都度即興で変化させて歌う人々もいるらしい。しかしそれはデタラメに変化させている訳ではなく、3度とか5度とか、ちゃんと規則性を持っているようなのです。

 

ちょっと分かりづらいと思うので、具体的に見てみましょう。

アフリカの人にとって「一つ飛ばした音」は、全て主旋律として採用できる。つまり「イコール」の関係にあるのです。ド=ミ=ソ=シ、同様にレ=ファ=ラ=ド。

そう考えると、音階を次のようにA・Bの2つのグループに分けることができます。(オクターブ違いの音が同じグループに入らないのが少々悲しいですね…)

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主旋律のある音がAグループだった場合、その音は他のAグループのどの音とも置換可能だということです。Bグループも同様。

例えば童謡「ちょうちょう」で考えてみましょう。この歌の旋律をグループ分けすると次のようになります。

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最初のソの音はAグループなので、同じAグループであるド・ミ・シの音とはいつでも置換可能なのです。同様に、3拍目のファの音はBグループなので、レ・ラ・ドとはいつでも置換可能です。

 

と言うわけで、「ちょうちょう」のメロディをアフリカ式で変化させてみると次のようになります。

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このように様々なバージョンが考えられるわけですが、これらはアフリカの人にとっては全て「ちょうちょう」に聞こえるようなのです。ちょうど我々が、曲のキーを変化させても元の曲と同じに聞こえるのと似たようなものなのでしょう。

 

(繰り返しますが、これらの理論は全て研究家が考えたアフリカ音楽に対する論理的アプローチ方法なので、アフリカ人が実際にこういったことを考えて歌っているのかは分かりません)

 

さて、今回はアフリカ音楽について勉強しました。やはり民俗音楽は西洋音楽の常識が通用しないので理解するのが大変ですね。

でも大丈夫。一緒に太鼓を叩いたり歌を歌ったりすれば、アフリカの人達ともきっと仲良くなれるはずです。

 

心配ないさ~!!