音楽理論 ざっくり解説

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カポタスト 後編

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カポタスト 後編です。

前編(カポタスト 前編)ではカポタストの基本的な理屈について学びました。後編では、具体的にカポタストによってどのようにコードが変化するのかを見ていきましょう。

 

バレーコードを簡単に

前編で学んだように、1フレットにカポを付けると全ての弦が半音上がったのと同じ状態になります。その状態でCのコードを弾くと、全ての音が半音上がっているのでC#(D♭)の音が出ます。同様にGのコードを弾くとG#(A♭)の音が出ます。

これを逆に考えると、C#(D♭)やG#(A♭)などのコードが頻出する曲を弾きたい場合、1フレットにカポを付ければかなり簡単に弾けるということになります。

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ではもう一例考えてみましょう。

「B→F#→G#m」というコード進行の場合、何フレットにカポを付ければ弾きやすくなるでしょうか。

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Bのコードは2フレットをセーハしてAのコードを押さえますから、2フレットにカポをつければ簡単になるでしょうか。

そうですね、勿論これも正解の一つではあるのですが、しかしこれだとG#mのときにF#mを押さえなければいけません。

バレーコードを完全になくしたいのであれば、4フレットにカポを付けると「G→D→Em」というコードで弾くことができるのでとても簡単になります。

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4フレットにカポを付けると全ての弦の音が鍵盤4つ分上がります。上図のように、Gの4つ上はBですから、カポ4でGのコードを弾けばBのコードと同じ音が出るということです。

 

最適フレットを探す

1フレットにカポを付けた場合、元のコードに対して半音下のコードを弾けば同じ音が出ます。同様に、2フレットにカポを付けた場合、元のコードに対して全音下のコードを弾けば同じ音が出ます。

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つまり、カポを付けるフレットが一つ上がると、押さえるべきコードは一つ下がります。この考え方が理解できていると、何フレットにカポを付ければ簡単に演奏できるのかが一瞬で分かるようになります。

例えば先程のBであれば4フレットにカポを付けるのが一番簡単ですが、2フレットでもまぁまぁ簡単。逆に、1フレットや3フレットに付けてしまうと余計難しくなってしまうということが分かります。9フレットや11フレットだとコードそのものは簡単になりますが、そんなハイポジションにカポを付けるのは現実的ではないため却下。

 

 

コード単体ではなくキーに対してこの考え方を応用することもできます。

例えばBメジャー(ロ長調)の曲を弾く際、何フレットにカポを付けると何調になるのかを考えると、やはりこれも先程と同様、4フレットにカポを付ければGメジャー(ト長調)になるのです。

Gメジャーの曲でよく使われるコードはG , C , D , Am , Em あたりですから、4フレットなら簡単に弾けそうだということが推測できますね。

このようにコード一つ一つを見なくても、キーだけ考えればどの位置にカポを付ければいいか何となく判断できるのです。

 

意外な弱点

さて、このように#や♭だらけの曲を超簡単にしてくれる便利なカポタストですが、実は弱点が一つあるのです。それは「転調に弱い」ということです。

近親調への転調だったらそれほど問題はないのですが、遠い調に行かれてしまうとお手上げです。よくあるのは、最後のサビで半音上がるパターン。もはや地獄絵図です。

 

例えば先程のBの曲が途中でGに転調したとしましょう。

4フレットにカポを付けていると、Gの部分はE♭で弾かなければいけません。ご存知のようにE♭は6フレットをセーハして弾くコードです。この場合は4フレットにカポを付けた上での6フレットですから、実質10フレットです。何かの修行でしょうか。

 

同様に、最後のサビで半音上がってCに行かれるのも辛い。4フレットにカポを付けていると、CのコードはA♭で弾かなければいけません。

このように、カポタストは急激な転調には弱いのです。こういう曲に出くわしたら、上手く妥協案を探す(例えばB→Gの場合、2フレットに付けるとA→Fになるので多少マシになる)か、開き直ってカポ無しで弾くか。

もしくは曲の途中でカポの位置を変えるギャンブラーもいますが、私は怖くてそんなことできません。手が滑って落としたら終わりですからね。

 

半音下げチューニング

では最後にこれについてちょこっと説明して終わりにしたいと思います。

半音下げチューニングも理屈はカポタストと同じで、つまり「-1フレット」にカポを付けていると考えればいいのです。全ての弦が半音下がっているので、原曲のコードより半音高いコードを押さえれば、結果的に原曲と同じ音が出ます。

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カポタストのフレットを1つ上げると押さえるべきコードは1つ下がりましたが、今回はその逆。チューニングを1つ下げるごとに押さえるべきコードは1つ上がります。

例えばBのコードは、半音下げチューニングのCと一緒です。

 

チューニングを半音下げると普段弾きなれているコードもちょっと違う響きになるので、初心者の方はいつもとは違うテイストの曲が作れるかもしれません。

カポタストを使っても違う響きにはなりますが、カポタストは性質上どうしても低音が犠牲になってしまいます。低音を大事にしたい方は半音下げチューニングを使ってみてはいかがでしょうか。(ベースがいれば関係ありませんが…)

また、半音下げることによって弦の張力も若干弱まりますから、力の弱い方でも多少弾きやすくなります。

 

さて、カポタストについて色々解説してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。

そう言えばコブクロは昔は半音下げチューニングで弾いていましたが、どうやら最近はやめたようです。