音楽理論 ざっくり解説

音楽理論をざっくり解説します。最低限のポイントだけ知りたい方へ

アドリブの練習方法 前編

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コードもリフもだいたいマスターした初心者の方が次にぶつかる壁が、「アドリブが弾けない」ではないでしょうか。

私はよく音楽を言葉に例えますが、作曲した音符を弾くのは事前に原稿を用意したスピーチのようなもの。それに対してアドリブとは、いきなりマイクを向けられて、「はい、何か喋って」と言われているようなものです。困るのも当然ですね。

 

たまにアドリブなのに感動する内容を次々話してしまう人がいます。バッハとかモーツァルトとかベートーベンとか、クラシックの巨匠とはそういう超人的な能力を持った人達でした。また、話している途中で奇跡的に超面白いボケが思いついてしまうこともありますよね。ジャズの名盤と言われているものはだいたいそんな感じです。

まぁそんな巨匠達のことは置いといて、今回は我々のような凡人でも何となくアドリブが弾けるようになる方法を考えてみましょう。

 

ちなみに、話し方が人それぞれであるように、アドリブの弾き方も結局は人それぞれです。もしかしたら以下の内容が全く参考にならない方もいるかもしれませんが、あくまで数多ある手法の中の一つだと思ってお読みください。

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スケールを覚える!?

スケール(音階)を覚えたほうがいいのか、というのはなかなか難しい問題ですね。

もちろん、知らないよりは知っていたほうがいいのは間違いありません。しかし各種スケールはトンデモナイ数が存在します。まずはスケールそのものを覚え、さらにそのスケールがどんな状況で使えるかというパターンを覚えるとなると、それだけで頭が痛くなってしまいます。

しかも残念ながら、スケールを覚えたところで、それが即役立つわけではありません。スケールとはあくまでただの「音階」です。ドレミファソラシドをただ順番に弾いても全く面白くないのと同様に、各種スケールの音を順番に弾いても全く面白くありません。

スケールとは、国語の授業で習った「来ない 来ます 来る 来るとき 来れば 来い」みたいなものです。覚えただけでは話せるようにはなりません。結局は自分自身で工夫して弾かなければいけないのです。

(そういう私も、楽譜を見ればその小節で何スケールが使えるのかは勿論分かりますが、実際に演奏をするときには全く考えていません。ほぼその場のノリで弾いています)

 

スケールについては一応こちら「様々なスケール」で紹介していますので、詳しく知りたい方はご覧下さい。

 

ペンタを使う

というわけで、初心者には各種スケールを覚えるのは全くオススメしないのですが、唯一、分かりやすくて即使えて覚えやすくてド定番のスケールが存在します。

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これがペンタトニックスケール、通称「ペンタ」と呼ばれるものです。

ペンタとは「5」という意味で、厳密には5音で構成された音階は全てペンタトニックスケールと言うようですが、とりあえず代表として上の音階に登場して頂きました。

この音階の便利なところは、適当に上下させるだけで何となく曲になってしまうという点です。試しにやってみましょう。

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はい。ドレミソラを順番に適当に上下させただけですが、何となく曲が出来上がりましたね。

アドリブ初心者がまず悩む点は「どうすれば自然なメロディになるか分からない」「どう始まってどう終わればいいか分からない」ということではないでしょうか。ペンタを使えば、何となく音階を上下させて、最後はドで終わればいいだけなので悩む必要はありません。

初心者の方はとにかくこのスケールを弾きまくって、「適当に上下させれば何となく曲が成立する」「終わらせたいときはドを弾く」という2点を徹底的に体に覚え込ませてください。

 

…え、なんか民謡っぽい?

 

はい。確かにこの音階は民謡でよく使われています。アジアが中心ですが、世界中いたるところで見られますよ。例えば卒業式の定番「蛍の光」は元々スコットランド民謡なのですが、この音階が使われています。

当然日本の民謡・童謡などでも数多く使われているので、我々日本人にはこの音階が体に染み付いています。それもあって、この音階を使えば誰でも簡単に曲っぽいものを作ることができるのです。

 

 

もう一つペンタトニックスケールの便利なところは、コード進行をあまり気にしなくていいという点です。もちろん全く気にしない訳にはいかないのですが、だいたい誤魔化すことができます。

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このように、異なるコード進行に同じメロディを乗せても何となく成立してしまいます。これは朗報ですね。魔法のようなスケールです。

何も心配することはありませんので、初心者の方は怖がることなくドンドン弾いて頂きたいと思います。上手くなるためにはとにかく弾くしかありません。

 

逃げるは恥だが…

さて、ここまでがアドリブの第一歩ですが、マスターできましたか?

 

先程、ペンタトニックスケールはコード進行を気にしなくていいと言いましたが、あまりに外れた音を弾いてしまうと流石に音が濁る場合もあります。特に小節の頭は注意が必要です。そんな時の対処法も少し紹介して終わりにしましょう。

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上のように、適当にペンタを弾いていたら、Gのコード(ソシレ)の時にドの音を弾いてしまった! アンプからは汚い和音が流れ、お客さんやバンドメンバーは不審に思い、自分は汗ダラダラ…。

 

はい、そんな時は逃げて下さい。

ライブハウスから逃げ出してはいけませんよw 素早く何か別の音を弾き直すという意味です。(念のため言っておきますが、この「逃げる」という単語は私が勝手に作ったものなので誰にも通じませんよ)

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まずは左の矢印を見てください。Gのコード(ソシレ)に変わった瞬間にドの音を弾いてしまいました。このままでは不協和音になってしまうのですが、素早くレの音に逃げることで回避しています。

右の矢印でも、Cのコード(ドミソ)に変わった瞬間にラの音を弾いてしまいましたが、素早くドに逃げることで不協和音を回避しています。

音源を聞いて頂ければ分かりますが、矢印の場所では一瞬だけ不協和音っぽい雰囲気が漂いますが、次の音に移った瞬間に何事もなかったかのように曲が進行していますね。

 

ヤバイと思ったときは一刻も早く逃げて下さい。コードの構成音が分からなくてどの音に逃げるべきか分からない場合は、とにかく動き回ってください。動き回っていれば、先程の「ペンタはどんなコード進行でも何となく合う」という性質に引っかかって、不協和音には聞こえなくなります。

自信の無いときほど動く。冗談に思えるかもしれませんが、実はこれが結構大事なのです。

 

ちなみに、不協和音が全くダメと言うわけではありません。使い方によっては良いスパイスになるし、他の音に逃げるタイミングをわざと遅らせるテクニックもあります。ただし初心者には難しいのでここでは解説しません。

 

さて、アドリブのコツが何となく理解できましたでしょうか。まだまだ説明したいことは沢山あるのですが、ちょっと長くなってしまったので続きは後編で。

www.mie238f.com

 

 

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