音楽理論 ざっくり解説

音楽理論をざっくり解説します。最低限のポイントだけ知りたい方へ

ドミナントコード上で使えるスケール

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今日は、ドミナントコード上でどのようなテンションやスケールが使えるかについて勉強しましょう。

 

ミクソリディアン

ドミナントコードと言えば、代表はⅤの和音です。

アヴェイラブル・ノート・スケールの理論に従うと、Ⅴの和音上で使えるのはミクソリディアンスケールです。

キーがCメジャーならⅤの和音はG7で、そのときに使えるスケールはGミクソリディアンですね。

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ただし、G7上でGミクソリディアンを使う場合、ド(第4音)はG7のシ(第3音)とぶつかって音が濁るので、長い音価では使わないほうがいいとされています。

(絶対に使ってはいけないわけではない)

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Cミクソリディアンの場合はこうなります。

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しかし、スケール内に使用できない音が存在するというのも不便な話ですよね。

全ての音を使いたい場合はどうすればいいでしょうか。

 

 

はい、こうしましょう。

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先程の第4音は、コードトーンの半音上でぶつかっているから使えなかったのです。

音を操作して、半音でない状態になれば何も問題ありません。

 

正式な名前は無いようですが、これは一般的には「リディアン♭7」「リディアン7th」「リディアンドミナント」などと呼ばれます。

ミクソリディアンが進化した形のはずなのに、「ミクソリディアン#4」とかではなく「リディアン何とか」と呼ばれるのが謎www

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これだけでも充分雰囲気が出ますね。

 

 

C音から始めるとこうなります。

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ちなみにこのスケールは、メロディックマイナーを第4音から始めた形と一緒です。

Gリディアン♭7は、Dメロディックマイナーをソから始めた形と一緒。Cリディアン♭7は、Gメロディックマイナーをドから始めた形と一緒です。

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オルタード

さて、ここでもう一度Gミクソリディアンを見てみましょう。

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このスケール内には、Gコードの9th 11th 13thのテンションが含まれています。

 

作曲をちょっとカジった方ならご存知だとは思いますが、コードにテンションを加えると不協和音の度合いがパワーアップし、テンションが無い状態のときよりも強くトニックに進行したくなります。

さらに、そのテンションを半音上下させると、より一層不協和音度合いがパワーアップし、より一層トニックに進行したくなります。

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ということは、全てのテンションを半音上下させれば、トニックへの進行力が最強のスケールができないでしょうか。

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はい、出来ました。

これは「オルタード・ドミナント・スケール」という名前で、一般的には「オルタード・スケール」と呼ばれます。

alterdとは「変更された」という意味です。日本ではテンションやコードトーンが半音上下したときに使われる言葉ですが、本来は音が上下すれば何でもalterdと言って構わないようです。

 

ラ♭音はコードトーンの半音上なので使わないほうがいいのではないかと思うかもしれませんが、先程のド(ミクソリディア第4音)はドミナントの働きを弱めるような性質があったのに対し、このラ♭(オルタード第2音)はむしろドミナントの働きを強めるような性質があるので、全く問題ありません。

 

また、G7のコードトーンであるレ音がスケールに含まれていませんが、先程言ったようにオルタードテンションを使う目的は、コードを不安定にさせてトニックに進行しやすくするためです。

G7のレ(第5音)は、ルートを支えてコードを安定させる働きがありますから、この場合は存在しないほうが都合が良いのです。

スケールの音をただ順番にダーッと弾くだけでジャズっぽくなります。

ハッタリかますのに最適www

 

 

先程言ったように、オルタード・スケールはトニックへの進行力が非常に強い。

音源前半は「G7→C」、後半は「G7→D♭」です。 

前半は無事トニックに解決できてスッキリしますが、後半は期待していた進行と異なるのでちょっと変ですね。

このように、オルタード・スケールは「トニックに進むぞ!」という気持ちが強すぎて、ドミナントモーションをしないときにはあまり適切ではありません。

このような場合は、先程のリディアン♭7のような、トニックへの進行力が比較的弱いスケールを使ったほうが自然です。


オルタード・スケールをC音から始めると、ピアノの黒鍵を全部使ったスケールになるので覚えやすい。

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C#(D♭)から始めると、これはこれで覚えやすい。

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あれ、ドだけが#のスケールって、見覚えありますね…。

そう、先程のGリディアン♭7です!

 

つまり、「Gリディアン♭7」=「Dメロディックマイナー」=「C#オルタード」となっています。

 

ちなみに、オルタード・スケールはロクリアンの第4音が半音下がった形とも一緒なので、「スーパーロクリアン」とも呼ばれるらしいです。

superは「超える」という意味ですから、「何で第4音が半音下がってるのにスーパーなんだよw これどうせ和製英語だろw」と私は思っていたのですが、どうやら海外でも使われている名前のようです。

 

ディミニッシュ

ディミニッシュ(以下dim)コードもドミナントの機能を持っています。

dimコードには「dimスケール」という専用のスケールがあります。例としてCdimスケールを見てみましょう。

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ジャズなどで、Cdimコード上でアドリブを演奏する際、困ったらとりあえずこれを使っておけば大丈夫です。

 

これ以外のスケールを使いたい場合はどうすればいいでしょうか。

dimコードは、♭9コードのルート省略形です。例えばCdimだったら、A♭7(♭9)からルートが取れた形です。

よって、dimスケールばかり使ってワンパターンになるのが嫌だったり、dimスケールの雰囲気が好きではない場合、Cdim上でA♭7用のスケール(A♭リディアン♭7・A♭オルタードなど)を使ってもそれほど問題ありません。

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(Cdim上でA♭オルタードを使った例。一部ぶつかっている音があるが、それほど気にならない)

 

組み合わせ

dimコードからは一旦離れて、普通の7thコード用のスケールの話に戻りましょう。

 

先程のdimスケールの音の配置をよく見て下さい。

構成音の音程が、全音・半音・全音・半音…と、規則的に配置されていますね。

これの逆バージョン、つまり半音・全音・半音・全音…というパターンで配置される音階もあります。

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これをコンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール(以下コンディミ)と言います。(上図はCコンディミ)

 

コンディミは、前半はオルタード・スケールと同じ、後半はリディアン♭7と同じ構成音になっています。

つまり、トニックへの進行力はオルタードとリディアン♭7の中間くらいです。ちょっと中途半端で使いにくいかもしれません。

 

逆に、前半がリディアン♭7・後半がオルタードになるとホールトーン・スケールが出来上がります。(下図はCホールトーン)

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他にもいくつかのスケールが考えられますが、結局は「9th 11th 13thの各テンションをそのまま使うか、それともオルタードの形で使うか」というだけのことです。

細かいことを全て暗記する必要はありません。

 

Ⅴの派生コードにも、この考え方が応用できます。

例えばGsus4のド(4th)は、11thのテンションと同じ音です。よって11thはナチュラルの状態で確定。残りの9thと13thをどうするかでスケールを考えます。

同様に、Gaugのレ#(#5th)は♭13thと同じ。よって13thは♭で確定。残りの9thと11thをどうするかでスケールを考えます。

 

Bm7(♭5)はG9のルート省略形なので、ラ(G9の9th)はナチュラルで確定。また、ミ(G9の13th)を♭させてしまうとBm7(♭5)の3rdとぶつかるので、これは良くない。

よって、残りはド(G9の11th)をどうするかという話になります。

 

 

ちなみに…

先程登場したスケールについて詳しく知りたい方はこちら「dimスケール・コンディミスケール」「ホールトーンスケールの使い方」をご覧下さい。

 

短調

今まではすべて長調でしたが、短調の場合も少し考えてみましょう。

短調にはナチュラルマイナー・ハーモニックマイナー・メロディックマイナーの3種類がありますが、Ⅴの和音の第3音は半音上がっているので、ナチュラルマイナーは関係ありません。

 

長調のⅤの和音上で使えるスケールはミクソリディアン。つまりメジャースケールを第5音から始めた音階でした。

短調のときも同様で、例えばCハーモニックマイナーのG7上で使えるスケールは、ハーモニックマイナーを第5音から始めたものです。

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これには「ハーモニックマイナー・パーフェクト・フィフス・ビロウ」という苦しい名前がついています。(以下hmp5↓)

「そのルートに対して完全5度下の音を主音とするハーモニックマイナーと同じ音階」という意味です。

 

ビロウではなくダウンと言う人もいますが、どちらにしても和製英語なのでどうでもいいw

名前が既にダサいのに、「↓」がより一層ダサいwww

ちなみに先程のコンディミも和製英語です。

 

フリジアンの第3音が半音上がった形なので、海外では「フリジアン・ドミナント・スケール」と言うようです。

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E音から始めると分かりやすいですね。

 

このスケールは長調のときにも使えますが、オルタードの下位互換っぽい感じがするので私は使いません。

 

 

一方、メロディックマイナーのときは次の通りです。

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名前は私もよく分かりませんが、とりあえず「ミクソリディアン♭6」のような言い方で通じると思います。


次に、これら2つの使い分けですが、これは単純に主旋律がどちらの音階を使っているかで考えましょう。

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上譜例1のように、主旋律がハーモニックマイナーのときは伴奏のラ音も♭させて、譜例2のように主旋律がメロディックマイナーのときは伴奏のラ音もナチュラルでいきましょう。

 

主旋律にラ音が使われていないときは一応どちらでも可能ですが、ナチュラルマイナーのラ音は♭なので、ラ♭を含むスケール(hmp5↓やオルタードなど)を使っておいたほうが無難。

 

ミ音の扱いも同様です。

状況によってはナチュラルでもいける場合も稀にありますが、マイナースケールのミ音は♭なので、基本的にはミ♭を含むスケールを使っておいたほうが無難。

 

その他のⅤ

セカンダリードミナントや、或いはそれ以外のⅤ(F7やB♭7など)を使う場合も、ジャズであれば基本的に今までの考え方を踏襲すればOKです。

 

ポップスの場合はオルタードなどを使ってしまうと浮いてしまうので、なるべくその調に近いスケールを使用したほうが無難。

例えばCメジャーでA7コードを使う場合は、Cメジャーのドだけを#にした音階を使用して、レはアヴォイド。B7コードを使う場合は、Cメジャーのレとファを#にした音階を使用して、ミはアヴォイド。

 

 

但し、A7コードは大抵Dmに進行します。

「A7→Dm」という進行はニ短調の「Ⅴ→Ⅰ」と見做すことが出来るので、ニ短調のハーモニックマイナーに従ってシ音を♭させたほうが良い場合もあります。(譜例3)

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同様に、B7コードを使う場合、「B7→Em」という進行はホ短調の「Ⅴ→Ⅰ」と見做すことが出来るので、ホ短調のメロディックマイナーに従ってド音を#させたほうが良い場合もあります。(譜例4)

 

つまり、結局はそのときの状況によりますw

 

dimコードを演奏するときにも、この考え方を応用できます。

ポップスでdimスケールを使うと浮いてしまうので、例えばC#dimだったら、これをA7(♭9)と見做して、Cメジャースケールのドを#、シを♭にした音階(Ahmp5↓と同じ)を使うといいでしょう。

 

裏コードなど、その調から遠く離れたコードを使う場合は、もはや「ドだけ#」のような悠長なことは言えません。

例えばCメジャーの曲中でD♭7を使おうと思っても、CメジャースケールとD♭7コードの上手い折衷案など存在しませんw

ポップスでも、このようなときは潔く諦めてリディアン♭7などを使いましょう。

D♭リディアン♭7はCメジャースケールの面影が全くありませんが、そもそもセカンダリードミナントなどと違って、このようなコードは曲の雰囲気をガラッと変えるために使うことがほとんどでしょうから、Cメジャースケールに似ていなくても全く問題ありません。

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ちなみに先程の復習になりますが、「D♭リディアン♭7」=「Gオルタード」です。

GコードとD♭コードは全然似ていないように思えますが、D♭コード上でGオルタード(と同じ音階)を弾けば、それは自然とD♭リディアン♭7になってピッタリはまるのです。

なんか不思議ですねw

 

 

こんなところでしょうか。

ドミナントは元々不安定な性質を持っていますから、特にジャズの場合は少々変な音を弾いてしまっても問題ありません。

色々試してみましょう。