音楽理論 ざっくり解説

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マルチトニックシステム 後編

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マルチトニックシステム 後編です。

前編「マルチトニックシステム 前編」では、2から12までの各マルチトニックを解説いたしましたが、意外に長くなってしまって私個人の意見が書けませんでした。

そこで、自分の意見を書きたいがためにわざわざ後編を用意いたしましたw

 

8トニックシステム

まずはこちら。

これは私が勝手に考えたマルチトニックシステムです。

 

ご存知のように、マルチトニックシステムとは12の約数で作ることが出来ます。

つまり、通常は2・3・4・6・12しか存在しないのですが、トニックの数を変化させればそれ以外の数でも作れます。

 

まずは、5度圏の表を調号順ではなく音名順に並べ替えます。

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次に、各メジャーコードの右側に、同一のルート音を持つマイナーコードを入れていきます。

例えば、Cの右側にCm、Dの右側にDmを入れます。

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するとトニックの数が24になるので、新たに8でも割り切れるようになります。

例えばキーがCであれば「C・D♭m・E♭・Em・F#・Gm・A・B♭m」でグルグル回せるということです。

 

6トニックシステムが、2つの3トニックシステムを足したような形になっているのと同様に、この8トニックシステムも、2つの4トニックシステムを足したような形になっています。

まぁメジャーコードとマイナーコードでは響きが全然違うので、これら8つのコードが同等であると言うのはちょっと無理がありますが、ともかく数字の上では作れるということです。

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調選択の根拠

マルチトニックシステムは近代に成立した理論なので、理論書には「なぜこうなるのか」という詳しい説明が書かれていません。

(まぁ当然私も全ての理論書を読んでいるわけではないので、もしかしたら私の知らない本に書かれているかもしれませんが…)

 

というわけで、マルチトニックシステムはなぜあの調でないと駄目なのかについて考えてみましょう。

具体的に言うと、Cメジャーの3トニックシステムだったらなぜC・E・A♭に進行しなければいけないのか(なぜC・D・Eとかでは駄目なのか)を考えます。


前編で触れたように、コルトレーンが意識していたのは「挟む」「ねじ込む」という作業です。

あるコード進行に何かを挟み込む際、その調、或いは近い調のコードを挟んでしまうと、そこに機能和声上の起伏が生じてしまい、お互いの調に影響を与えてしまいます。

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上のように「C→G→C」というコード進行に赤線部の進行を挟み込むと、この青線部と赤線部の調はお互いに親和性が高いので、独立した2つの調には聞こえません。

独立した調に聞こえるようにするためには、ある程度離れた調、且つ短い進行にしなければいけないというわけです。

 

では「ある程度離れた調」とは一体何でしょうか。

 

実験だ!

まずは試しに「C・F・A♭」の3トニックを回したらどうなるか聞いてみましょう。

(C・F・A♭の「Ⅱ→Ⅴ→Ⅰ」を回しています)

 

う~ん、「F→A♭」と「A♭→C」のときに比べて、やはり「C→F」は転調感が弱く、どうしてもお互いの関連性を感じ取ってしまいますね。

CとFが同等に聞こえるとか、影響を与えないとか、そのようなことはありません。

それに、3つの調の転調感に差があるため全体のバランスも悪い。

 

というわけで、近い調に進行するのは禁止にしましょう。

近い調の定義が難しいところですが、ここでは「共通のダイアトニックコードを持つ調」とします。

例えばCメジャーとGメジャーは、互いにC・Em・G・Amの各コードを含んでいるので進行できないことにしましょう。

 

進行できない調にバツ印を付けると、次のようになります。

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ここで、CからEに転調するとします。

すると、E調はD・A・B・F#の各調に対して共通のダイアトニックコードを持っていますから、これらには進行できません。

同様にバツ印を付けましょう。

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D♭・A♭・E♭が残りましたね。

この3つの中だったらどこに進行しても構わないのでしょうか。

では試しに「C・E・E♭」の「Ⅱ→Ⅴ→Ⅰ」を聞いてみましょう。

う~ん、「C→E」と「E♭→C」は良いのですが、「E→E♭」は半音下がっただけなので、どうしても前後の関連性を感じ取ってしまいますね。

EとE♭は調号上は遠隔調ですが、周波数上では近い調であるということです。

 

そこで、ダイアトニックコードを共有する調だけでなく、半音上下の調にも進行できないことにしましょう。

C調と共通のダイアトニックコードを持つ調と半音上下の調にバツ印を付けると次のようになります。

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C調からE調に進行するとき、同様にE調にとっての近い調と半音上下の調にバツ印をつけると次のようになります。

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はい、自然と残りの調はA♭に限定されます。

A♭からCやEに進行することも当然可能ですから、これで無事にお互いに影響を与えずグルグル回すことが出来ますね。


一方、C調からA調に進行した場合は次のようになります。

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F#とE♭が残りますが、当然F#はC・A・E♭に進行できるし、E♭はC・A・F#に進行できます。

よって、これも影響を与えずにいくらでもグルグル回せます。

 

まとめ

つまり、あるコード進行に何かを挟み込む場合、元の調に対して影響を与えない調のコードを選択しなければいけません。

元の調に対して影響を与えない調とは、5度圏上、或いは周波数上である程度離れた調のことであり、それは「C・E・A♭」か「C・A・F#・E♭」の2つに限られるということです。

6トニックシステムと12トニックシステムに違和感があるのは、おそらくこの法則に合致していないためでしょう。

 

 

繰り返しますが、これは私が勝手に考えた理屈です。

間違っているかもしれませんし、どこかの本に同じことが書いてあるかもしれません。

 

しかし、それでも調は回っている!