音楽理論 ざっくり解説

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ジャズの歴史 後編

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ビバップ

ちょっと時間を戻しましょう。

30年代の終わりから40年代始めにかけて、演奏の仕事を終えたジャズミュージシャン達が店に集まり、その場にいる少人数で即興演奏をするということがしばしば行われていました。

(ニューヨークの「ミントンズ・プレイハウス」などが有名)

 

普段の演奏では「一般受けするジャズ」が求められますが、その場の即興演奏ではそんな気遣いは必要ありません。

やりたい放題にテクニックを詰め込んだり、或いは実験的な演奏も好き勝手に出来るわけです。

 

聴衆なんてお構いなしですから、ダンスミュージックである必要もなくなりました。

このような実験を繰り返し、ジャズのコード進行やアドリブはどんどん複雑化していきます。

 

こうして生まれたのが「ビバップ」で、これ以降のジャズを「モダン・ジャズ」と言います。

それにしても…私だったら仕事が終わったらすぐに帰って寝たいのですが、この人達、凄いパワーですね…

 

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ここで先程の流れを思い出してください。

戦争により娯楽施設やバンドメンバーが激減していたのでしたね。

 

そこへ登場したのが少人数でも出来るビバップです。

アンダーグラウンドで生まれたビバップという哺乳類は、ビッグバンドという恐竜が絶滅した瞬間、一気に地上を征服したのでした。

 

クール・ジャズ

さて、ここまでほぼ一本道で進化してきたジャズですが、この辺りから様々な流派というか小ジャンルというか、ともかく複雑に分化します。

 

まずは40年代後半に生まれたクール・ジャズですが、これはビバップに対してテンポが遅めで、アドリブも分かりやすく、全体的に大人しい感じのジャズです。

 

代表的なアーティストはマイルス・デイヴィスです。

かつてチャーリー・パーカーのバンドでトランペットを吹いていたマイルスですが、彼はチャーリー・パーカーのようなガンガン吹きまくる演奏スタイルではありませんでした。

 

そんな彼が発表したアルバムが「クールの誕生」ですが、これがクール・ジャズの起源であると言われています。

しかしこのアルバム以外にもクール・ジャズへの流れはあちこちで有ったようなので、ビバップの反動なのか、或いはスウィング以前のジャズの残滓だったのか、そういったものがこの時代にはあったのかもしれません。

 

ウエストコースト・ジャズ

ウエストコースト、つまりアメリカ西海岸側には、ハリウッドなどがあった関係で前衛的な芸術家が集まっていました。

彼らが40年代末〜50年代に演奏していたものをウエストコースト・ジャズと呼びます。

 

単純に「西海岸側のミュージシャンが演奏していたジャズ」という意味なので音楽上の定義は特になく、ビバップっぽいもの、クールっぽいもの、或いは後述するモードっぽいものもあります。

 

ハード・バップ

これは50年代後半に生まれたビバップの進化系です。

「ハード・バップ」という名前なので、てっきりビバップのアドリブがもっと激しくなった形なのかと思ってしまいますが、実は全く逆で、とにかくその場の勢いで好き放題に演奏しまくっていたビバップが、整備・洗練されたものを指します。

音楽的には正確な定義はないようです。

 

モード・ジャズ

ここまで、ジャズは基本的にコード進行やフレーズの面でどんどん複雑化してきました。

しかし人間の運動能力を考えるとそろそろ限界です。

そこで50年代末に登場したのが「モード・ジャズ」です。

代表作は、先程登場したマイルス・デイヴィスのアルバム「カインド・オブ・ブルー」です。

 

ここで言うモードとは、教会旋法の中の長音階・短音階以外のものを指します。

長音階・短音階は和声の規則が厳格に決められており、その規則により曲に起承転結の起伏が生まれます。

しかしそれ以外の旋法は和声の規則が長音階・短音階ほどには定まっていないため、今自分が起承転結のどこにいるのか判断がつきません。

つまり、現在地や目的地などを考えず、フワフワと漂うように流れに身を任せるのがモード・ジャズです。

 

ちなみにジョン・コルトレーンの「ジャイアント・ステップス」が発表されたのは1960年であり、まだハード・バップが現役バリバリだったことを考えると、モード・ジャズがいかに異質であるかがよく分かります。

 

フリー・ジャズ

この1960年前後は、シンクロニシティ的な何かがあったのでしょうか。

一方では、オーネット・コールマンにより「フリー・ジャズ」が創始されます。

 

フリージャズとは、今までの音楽の枠や概念(調性・コード・リズムなど)を否定し、各々が好きなように演奏するというジャンルです。

すると…当たり前ですが、メチャクチャになるわけですw

 

 

面白い試みではあると思いますが、では好んで聞きたいかと言われたら非常に微妙。

個人的には、まぁ30秒くらいならアリかな…という印象ですw

 

もちろん当時も賛否両論侃々諤々様々あったようです。

 

フュージョン

世界中でロックが大流行すると、ジャズもその流れに乗って電子楽器、或いはその他のロック的要素を取り入れます。

創始者は、またもやマイルス・デイヴィスです。

 

1970年発表のアルバム「ビッチェズ・ブリュー」は、ロックファンなども取り込みヒットチャートを賑わしましたが、先程のフリージャズ同様、オールドファンからは「これはジャズではない」と言われることになりました。