今日は世界の変わった国歌を色々と紹介いたします。
私の中では、変わった国歌No.1はダントツで君が代なのですが、君が代について語るとだいぶ長くなりそうなので、それはまた別の機会に…w
外国の国歌と言えば、次のような長調の勇ましい曲調をイメージするでしょうか。
フランス共和国 国歌「ラ・マルセイエーズ」(La Marseillaise)日本語訳/National anthem of France
血みどろの戦いの末に建国されたような国は「俺達は勇敢に戦って独立を勝ち取ったんだ!」という内容を歌うことが多いようです。
すると歌詞は「共に戦え! 敵を蹴散らせ!」のようになり、曲調も自然と勇ましくなります。
こんな歌詞を国民が大声で歌う国って一体……。
ただし(私もちゃんと統計をとったわけではありませんが)このような国歌は少数派です。
どちらかと言うと、次のようなゆったりとした曲調が主流。
ノルウェー王国 国歌「我らこの国を愛す」(Ja, vi elsker dette landet) 日本語訳/National anthem of Norway
このような曲調の場合、歌詞は「悠久の大地 愛に溢れ 祖国よ永遠なれ」のような内容になっています。
まぁ、ほとんどの国はどこかしらで戦争を経た上で独立しているので、戦争色を完全排除した国歌はなかなかレアで、多少は「勝利! 自由!」のようなワードが入ります。
しかし、少なくとも先程の「共に戦え」タイプに比べたら全然マシ。
一応付け加えますが、これらのタイプの複合型もあります。
つまり、歌詞が「共に戦え」なのに曲調がゆったり。或いは歌詞が「悠久の大地」なのに曲調が勇ましい。
あと、短調の国歌も多少存在します。
これも勇ましいと言えば勇ましいかw
えっと…話があちこちに脱線してしまいましたが、つまり世の中のほとんどの国歌は長音階か短音階で出来ているのです。
というわけで、今回は長音階・短音階でないもの、或いは激しく転旋するものを「変わった国歌」と定義し、それを色々と紹介します。
ちなみに…
ほとんどの国歌が長調・短調だけで出来ているのは、実は当たり前なようで当たり前ではない。
なぜなら、民族音楽には長音階・短音階以外の旋法を使用したものが沢山存在するからです。
冷静に考えれば、自国の音楽文化を国歌に取り入れていないほうが余程「変わっている」んですよw
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アフガニスタン国歌
長調と短調がコロコロ入れ替わります。
フランス国歌もBメロが一瞬短調でしたが、そんなレベルではないw
モロッコ国歌
モロッコ王国 国歌「国王万歳(النشيد الوطني المغربي)」
これは短調で始まり、途中で長調へ。
「短調→長調」という流れが、何となく昭和のアニソンにありそうな感じで好きw
メジャー・マイナー以外の旋法を使っている国歌も存在します。
トルクメニスタン国歌
トルクメニスタン 国歌「独立、中立、トルクメニスタンの国歌(Garaşsyz, Bitarap Türkmenistanyň Döwlet Gimni)」
基本的にはミクソリディアンです。
アフガニスタンにしてもトルクメニスタンにしても、ここぞという場所でスケール外の音を使ってくるのが、いかにも中東っぽいですね。
カンボジア国歌
カンボジア王国 国歌「王国」(បទនគររាជ)日本語訳/National Anthem of Cambodia
一瞬Gメジャーかと思ってしまいますが、実はシで始まりシで終わっている。つまりメロディだけ見ればBフリジアンなのです。
カンボジアは独立前後にかなりのゴタゴタを経験した国ですが、国歌は非常に美しい。
日本語訳を見る限り戦争色も一切なく、私は外国の国歌の中ではこれが一番好きかもしれません。
モーリタニア国歌
النشيد الوطني الموريتاني كاملا
第4音が#になったAハーモニックマイナー。
ジプシースケールに似ています(Aが主音になったEジプシースケール)が、おそらく直接的な影響はジプシーではなくアラブ音楽ではないでしょうか。
(まぁジプシー音楽はそもそもアラブ音楽に影響を受けているので、ハッキリどちらとは言えないのですが…)
ちなみにこの曲も途中でスケールが変わります。
独特で格好良いと思うのですが、なんとこの国歌、2017年に別のものに変更になってしまったようです。残念…。
旋法が独特な国歌はこんなもんでしょうか。
私も全ての国歌を知っているわけではありませんので、他にも面白いものがあるかもしれません。
では最後に、旋法など関係なく面白い国歌を一つ紹介して終わりにいたします。
エルサルバドル国歌
エルサルバドル共和国 国歌「エルサルバドルの国歌(Himno Nacional de El Salvador)」
長ぇwww