音楽理論 ざっくり解説

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ロクリア旋法

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教会旋法シリーズも早いもので最終回。もうちょっと引っ張れば良かったかなw

今日はロクリア旋法です。「ロクリアンスケール」「ロクリアンモード」「シの旋法」などと呼ばれることもあります。

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このように「ドレミファソラシド」をシから始めた旋法を指します。

上譜例はB音から始まるロクリア旋法なので、これを「Bロクリア旋法」もしくは「Bロクリアンスケール」などと言います。

 

ちなみに、教会旋法とは文字通り「教会(聖歌)で用いられた旋法」のことを指しますが、ロクリア旋法を用いた聖歌はほぼ存在しないため、ロクリア旋法を教会旋法に含まない人もいます。

 

特徴

ロクリア旋法をドから始めると下のようになります。短音階と比べると♭が2つ増えた形ですね。

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ちょっと分かりにくいですが、長音階を第7音から始めた形、もしくは短音階を第2音から始めた形であると覚えましょう。

例えばDロクリアンはE♭メジャー、もしくはCマイナーをレから始めた形。F#ロクリアンだったらGメジャー、もしくはEマイナーをファ#から始めた形。AロクリアンだったらB♭メジャー、もしくはGマイナーをラから始めた形です。

 

短音階とロクリア旋法の差は、第2音と第5音が♭になっているかどうかなので、これら2つの音を特性音(特徴音)と言います。

本によっては第5音だけが特性音とされている場合もあります。

 

今までの旋法は、主音と第5音の音程が全て完全5度でした。しかしロクリア旋法では減5度になってしまいます。

このため、今まで勉強した旋法と比べてかなり特殊です。

数学の三角関数で言うと、今までの旋法はsinとかcosで性質が非常に似ているのに、ロクリア旋法はtanです。「何でお前だけ特殊なんだよ!」と突っ込みたくなる奴です。

 

よって、先程少し触れましたが、ロクリア旋法は近代まで正式に旋法の仲間として認められることはありませんでした。

1547年に出版されたグラレアヌスの「ドデカコルドン」でも「シで終わる曲は滅多にないからシ旋法は省略する」と書かれ、ほとんど解説されていません。

また、名前も「ハイパーエオリアン」とされ、ロクリアンという固有の名前は付けられていません。

(カッコイイ名前に見えますが、ハイパーとは「超える」という意味ですから「エオリアンの一個上」程度の意味でしかありません)

 

いつ固有の名前を付けられたのか、いつ正式に旋法の仲間になったのか、私も詳しくは分かりません。

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コード進行

以下、特に指定がない限り全てBロクリアンで説明いたします。

先程言ったように、ロクリア旋法は主音と第5音の音程が減5度のため、主音上に和音を作ろうとすると♭5コードになってしまいます。

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しかし♭5コードでは主和音っぽい感じがしないため、曲の段落時には、ユニゾンにする(下譜例1)、第5音を省略する(2)、第1転回にする(3)、テンションを入れる(4)などして、減5度を和らげる必要があります。

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Bmを使用するのも不可ではないようですが、あまり推奨はされません。

 

使用例

では実際にロクリア旋法の曲を作ってみましょう! …と言いたいところですが、なかなかイメージしづらいと思うので、今回は先に使用例を見てみましょう。

 

まずはバルトークのミクロコスモスより「虫の羽音」


Béla Bartók Piano Mikrokosmos Volumen 2. 63 Buzzing Audición. Partitura

F#ロクリアンです。

短2度と減5度を使って、虫がブンブン言う様子を上手く表していますね。 

 

 

続いてドビュッシーの「フルートとビオラとハープのためのソナタ」


Claude Debussy - Sonata for Flute, Viola and Harp

6分6秒から6分40秒あたりが分かりやすいでしょうか。

Cロクリアンですが、もしかしたら「第5音が♭になりがちなフリジアン」と言ったほうが正確かもしれません。

 

 

続いてビョークの「Army Of Me」の冒頭


björk : army of me (HD)

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ベースや歌がCロクリアンになっています。これもサビ部分ではフリジアンっぽくなってしまうのですが…。

 

 

最後に童歌の「手まり歌」


わらべうた てまりうた ( あそび歌 )

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(音源は譜例よりも半音下)

これはロクリア旋法ではなく、ただの第4音から始まる陰旋法だと思うのですが、例が少ないのでこのような曲も含めてしまいましょうw

 

作ってみよう!

ロクリア旋法の曲がどんなものか何となく掴めたでしょうか。

一曲を通して終始ロクリアンで進行する曲は少なく、また、和音よりは線的な曲が多いのが特徴ですね。

というわけで、実際に作ってみましょう。

 

線的な曲ならこんな感じ。

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和音で攻めるなら、ちょっと無理矢理ですがこんな感じでしょうか。(連結は適当)

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ロクリア旋法は扱いにくいため、現代では教会旋法の中では最も人気のない旋法です。

しかし長音階と短音階も、元々は非公式旋法でした。それが近代以降の作曲スタイルの変化によって、一気に超ポピュラー旋法へと成り上がったのです。

未来ではロクリア旋法の曲が主流になっている可能性もゼロではありません。今のうちにマスターしておきましょう。

 

www.mie238f.com