音楽理論 ざっくり解説

音楽理論をざっくり解説します。最低限のポイントだけ知りたい方へ

キーボードの音色

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今日はキーボードの様々な音色を紹介いたします。

ピアノの音を使う場合についてはだいたいこちら「ピアノでコードを弾く(ソロ)前編」で解説していますので、詳しく知りたい方はご覧下さい。

 

その前に、この「音色」という言葉は「ねいろ」と読むべきか「おんしょく」と読むべきか。

基本的には、楽器の音そのものを指すときは「ねいろ」(ピアノのねいろ、フルートのねいろ、等)と言い、音のイメージを指すときは「おんしょく」(暖かいおんしょく、冷たいおんしょく、等)と言うようですが、人によってバラバラなので私も正解がよく分かりません。

 

エレクトリックピアノ

では解説に入りましょう。

まずはエレクトリックピアノ(通称エレピ)です。60~70年代の洋楽やジャズなどでよく使われる音ですね。


Miles Davis- Stuff [May 17, 1968] from Miles In The Sky

 

フェンダー社のローズが有名ですね。

私は本物のローズを少しだけ触ったことがありますが、トーンとかボリューム等のノブの設定が難しくて、良い音が全く出ませんでしたw

カメラ初心者が一眼レフを使っても良い写真が撮れないのと一緒ですねw

 

普通のピアノよりも音が柔らかいので、モヤ~っとした雰囲気を出すことが出来ます。

また、ジャズのイメージがあるので「夜」とか「雨」とか、どちらかと言うと暗い雰囲気にピッタリ来る音色です。

「夏」とか「太陽」とかは絶対合わないw

 

高音域だとちょっと印象が変わって、キラキラした感じを出すことが出来ます。

 

無機質な感じで高音を弾くと、電子的なピコピコ音っぽくなります。良い電子音が無いときはエレピ音で代用しましょう。

 

注意点は、音量(と言うか迫力)が小さい音なので、低・中音域では他の楽器に埋もれてしまうことですね。

ピアノも埋もれますが、エレピはそれ以上です。激しめの曲だったら絶対に聞こえません。

まぁ、先程言ったように暗くて静かなイメージに合う音なので、激しい曲ではあまり使いませんが…。

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クラビネット

クラビネットとは、クラビコードの音を電気的に増幅したものです。クラビコードとは、古典派時代の前半くらいまで使われていた「家庭用チェンバロ」的な楽器です。

つまり本来はクラシック系の楽器なのに、現在ではファンク系・R&B系のジャンルで使われている不思議な楽器です。


Stevie Wonder Superstition

 

ファンク系の曲で使ったら格好良さそうだな、と思うかもしれませんが、実はこの楽器はエレピとは逆に主張がけっこう強いので、完全にギターとぶつかります。

上の曲のように鍵盤メインの編成だったら使えるかもしれませんが、大抵のバンドはギターメインでしょうから、この音の出番はあまりありません。

 

ハープシコード

チェンバロのことですね。

バンドで使われることはほぼありませんが、シンフォニックメタル系の曲で使うと雰囲気が出るかもしれません。

私は「キャンディ・キャンディ」のOP曲のイントロで使ったことがあります。

 

ジャズオルガン

アンパンマンのパン工場を経営している高齢男性のことではありません。

ハモンドオルガンのことですが、なぜかキーボードのボタンや画面には「ジャズオルガン」「ロータリーオルガン」などと書かれていることが多い。ハモンドオルガンって商品名なのかな…。


Deep Purple-Burn

 

3分55秒頃からが分かりやすいですね。

あとはゴダイゴの「銀河鉄道999」の間奏なんかも良いですね。他にも色々あるはずなのですが、いざ良い使用例を挙げようとするとなかなか見つかりません。

 

この音色はグリッサンドが特徴的で格好良いです。

ピアノのグリッサンドはバンドでは浮いてしまうので多用するとカッコ悪いのですが、ハモンドオルガンのグリッサンドは何度やっても格好良い。

 

また、クラスター的な感じで適当に鍵盤を叩くとパーカッシブな音が出ます。

 

ご覧のように、この音の最大の特徴は「ノイズっぽさ」です。

まるでパーカッションのようなノイズ性を持っているので、敢えて不協和音を奏でることで独特の雰囲気を出すことも出来ます。

 

基本的にピアニストは綺麗な和音を奏でることを要求されるので、ハモンドオルガンは全く対極の存在です。こういう音色も使いこなせるようになると演奏の幅が広がります。

 

パイプオルガン

あまり使われません。チェンバロ同様、シンフォニックメタルで使うくらいでしょうか。

 

コーラス

人間の「ア~」という声が出ます。夜中に聞くと超怖いw

あまり使われることはありませんが、私は「残酷な天使のテーゼ」の冒頭、それから「宇宙戦艦ヤマト」のAメロで使ったことがあります。

 

機種によっては、鍵盤を弾く強さによって「ア~」「ウ~」「ラ~」など、声が変化するものもありますが、そんな機能を付けるくらいなら他の音色を1つでも増やしてくれw

 

ビブラフォン

ジャズ系の曲で使われます。よく使われる割に、特に説明することはありませんw

高音域ではエレピのようなキラキラ音を出すことも出来ます。

エレピの音がイメージに合わないときは、こっちで試してみるのもいいかもしれません。

 

ストリングス

バイオリンが大勢でユニゾンしているような音色です。

本来バイオリンは音楽界の超メジャー楽器なので、明るい曲でも悲しい曲でも何でもイケるのですが、ストリングスの音色は悲しい曲やスローな曲で多く使われます。

このように「ブワーッ!」と和音を弾くだけの人がたまにいますが、幼稚なのでやめましょうw

クラシックを考えれば分かりますが、バイオリンとは基本的に主役を務める楽器ですから、もっと動き回ったほうが曲も楽器も生き生きします。

(ただし、あまり過度に動き回ると歌や他の楽器の邪魔になるので、加減が難しいところではあります)

 

ストリングスは、適当に和音を弾いているだけで何となく「それっぽく」なってしまうので非常に便利かつ危険な音色です。

油断しているとライブのセットリスト全てストリングス、しかも和音を伸ばすだけ、という状況になってしまうので、特に初心者の方は注意しましょう。

 

機種によっては、音の立ち上がり時間がやたら遅いものも有ります。

例えばこの音で全音符を弾いた場合、2拍目あたりから音が聞こえてくるので物凄く違和感がある。

それに、立ち上がりが遅いので、速いフレーズを弾こうとすると全く聞こえない。

音源後半はドとレのトリルなのですが、何をしているのか全く聞き取れませんね。

おそらくバラード系の曲の悲しい雰囲気を表現したかったのでしょうが、実際には全く使えません。

 

ブラス

金管楽器が大勢でユニゾンしているような音色です。ハッピーな曲やアップテンポな曲で使われることが多いので、ストリングスの対極にいるような音色ですね。

 

ファンファーレが得意技ですが、ファンク系の曲にもマッチします。曲調によってはジャズもいけます。

 

主張が強い音色なので、ボーカルの邪魔にならないように注意しましょう。

逆に、ギターやドラムにも全く引けを取らない音量を出すことが出来るので、間奏などでソロを弾くときは本当に楽しいですよ。自分の音が一番前に出て、まるで自分のためにバンドが存在しているかのように思えます。

ボーカルやギターはこんな感覚を全ての曲で味わえるんですよね。羨ましい限りです。

 

パッド

「Pad」とは当て物・詰め物・メモ帳・台などを意味する言葉で、曲を和音で包み込むように弾くのに適した音色のことを指します。つまり特定の楽器の名前ではありません。

先程触れたストリングスの「ブワーッ!」という弾き方は、まさにパッド的な演奏法ですね。

 

こういう音色、及び弾き方は、漫画の「スクリーントーン」だと思ってください。使いすぎると絵がうるさくなってカッコ悪いです。

しかし機種によっては面白い音が入っていて、「宇宙」とか「海底」など、曲のイメージにピッタリ合致する場合もあります。

 

上手い人はエフェクターを使って更に面白い音を作ることも出来ますが、私は機械には疎いので、そういったテクニックは詳しくありません。


シンセ・パッド

 

ギター・ベース

バンドには既に本物のギターとベースがいるのだから、普通はこの音色を使うことはありません。

 

一応私の経験を語っておくと、キーボード・ベース・ドラムという編成のバンドで、ボサノバの曲を演奏したときにギターの音色を使ったことがあります。

あと、あるライブの最中にベースのアンプから突然音が出なくなってしまって、その時に低音をカバーするために私がベースの音色を使ってベースパートを弾いたことがあります。

 

ドラム・効果音

これも使いませんね。

効果音とは、電話のベル、心臓の鼓動、雨、雷、銃を撃つ音、足音など。

 

あ、でも電話の音は使ったことがあるな。

ライブの冒頭で電話のベルが鳴って、ボーカルが受話器を取ると一曲目の歌が始まる、という演出をやったことがあります。けっこうウケましたよw

 

その他

キーボードに「Other」というボタンがあったら、そこには尺八・琴・三味線・シタール・バンジョーなどの音が入っています。

これら民族楽器を使うときの注意点は、決して西洋音楽風に弾かないこと。

例えば琴や三味線などの和楽器で「ドミソ」とか「ソシレ」などの西洋風の和音を弾いてしまうと雰囲気が台無しです。

ちゃんと楽器の特徴や奏法を理解した上で弾きましょう。

 

 

機種によってはまだまだ様々な音色を搭載していますが、主要な音はとりあえず解説完了です。

様々な音色を使いこなせるようになると、バンドとしてもキーボーディストとしても幅が広がりますよ。