音楽理論 ざっくり解説

音楽理論をざっくり解説します。最低限のポイントだけ知りたい方へ

バンドでキーボードを弾く! 前編

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今回は、バンド内でのキーボードの役割や、どんな弾き方をすべきか等、色々と語ってみようと思います。

私はピアノ弾きですが、やはり自分のポジションは理屈より感覚で理解していることが多いので、ピアノやキーボードについて語るのが一番難しいですw また、自分のポジションだけに、内容が全体的に「キーボードは一番偉い!」という思想に寄っている点、ご容赦願いますw

 

なお、以下の内容はピアノ一人で適当に伴奏が弾けるだけの知識・技術があることを前提に書かれています。そうでない方はこちら「ピアノでコードを弾く(ソロ)前編」を読んでからもう一度来てください。

 

地味なポジション

キーボードという楽器は、音量(と言うか迫力)がギターやドラムに比べると圧倒的に小さい。よって大きな音を出してメンバーやお客さんをアジテートするということは出来ません。また、ギターやベースのようにステージを動き回ることも出来ないため、パフォーマンス的にも地味なパートです。

では簡単なのかと言うとそうでもなくて、様々な音色を扱うために各楽器・理論・音楽ジャンルの知識が要求されます。また、後述しますがキーボードの演奏には選択肢が沢山存在するので、最適解を選ぶセンスも必要ですし、他のメンバーとは敢えて違う方向に動くこともあります。

つまり、地味な割に特殊な動きが多くて知識が必要で状況判断が難しい。RPGで言えば魔法使い、野球で言えば二塁手のようなポジションです。

 

「ダイの大冒険」という漫画では、マトリフ師匠が「魔法使いはパーティーの中で一番クールでなきゃいけない。全員がカッカしていても、ただ一人氷のように冷静に状況を見ていなければいけない」と言います。キーボードはまさにコレ。

キーボードはステージの後ろ側にいることが多いので、ステージ・客席全体がよく見えます。メンバーが間違えたりトラブルが起きたときにはカバーに入ったり、客席が盛り上がっているかどうかを見たり、そういう能力も必要です。

 

一方テクニックの面では、世の中のキーボーディストを見ると、ハッキリ言ってあまり上手い人はいません。これは音楽界におけるピアニストという人種のヒエラルキーが関係しています。

つまり、キーボードは「昔ピアノを習ってたから」という理由で始めることが多いのですが、ピアノが元々上手い人はだいたいクラシックに行ったきり帰ってきませんし、中くらいの人はジャズと駆け落ちしてしまいます。

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よって、バンドのキーボードには最下層の「残りカス」みたいな人間しか集まらないのですw 誰が残りカスだw

他の楽器ではあまりこのような現象は起こりません。ギターの上手い人がクラシックギターに行くとか、ベースの上手い人がオーケストラのコントラバスに行くとか、そんなことは有りません。ピアノにだけ、このようなピラミッドが存在するのです。不思議ですね。

バンドにキーボードは必要ないと言う人がたまにいますが、それは上手いキーボーディストに出会ったことがないだけです。キーボードというパートに原因があるのではなく、そのキーボーディスト個人のスキルが問題なのです。

 

しかも残念なことに、クラシックのピアニストにキーボードをやらせれば上手いのかと言うと、そうでもありません。もちろん指は動くのですが、先程言ったようにキーボードには他にも色々な能力が要求されるからです。遊撃手にいきなり二塁手をやらせても上手くいかないのです。

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色塗り

キーボードの役割を絵画で例えると「色塗り」です。

ギター・ベース・ドラムの3人は、輪郭を描くことには長けているのですが、色を塗るスキルは持っていません。色があったほうが伝わりやすいし、表現の幅も広がります。

(逆に言うと、ギター・ベース・ドラムがしっかりと輪郭を描いてくれないと、キーボードだけでは抽象絵画のようにモヤモヤしてしまいます)

 

例えば下のように海の絵を描くとします。

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線だけで海を表現するのは至難の業ですが、太陽は赤、海は青、砂浜は黄色とか茶色の系統で塗ってあげれば「あ、これは海を描いたんだな」と誰でも分かります。

 

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線は全く同じでも、色を少し変えるだけで夜の海にすることも出来ます。このように、キーボード次第で曲の雰囲気はいくらでも変わります。

 

世の中にはキーボードが入っていない曲が沢山存在します。また、原曲のキーボードがダサすぎて完コピする気にならないことも多々あります。そんな時は自分で何を弾くか考えなければいけません。勿論オリジナル曲を作るときもそうです。

言い方は悪いですが、ギターはコードをジャカジャカやっていれば誤魔化せる楽器です。ベースはルート弾き。ドラムはパターンを叩いていれば良い。しかしキーボードには「とりあえずコレ」という奏法がありません。よって他のパートよりも多くの「引き出し」が必要となります。

引き出しが沢山存在するということは、その中から最適なものを選ばなくてはいけないということです。このチョイスに失敗すると、太陽が緑になったり海が真っ赤になったりしてしまい、絵が台無しになります。

 

上の音源では、ギター・ベースは「C→G→C」というコードを繰り返し演奏していますが、ピアノパートが全く違うので、一つ一つの印象はそれぞれ大きく変わります。

色が無限に存在するように、キーボードの演奏には無数の選択肢が存在します。その中から最適解を選べるのが「上手いキーボーディスト」です。

 

曲はそれぞれ「何となくジャズ風だな」とか「走り出したくなる曲だな」とか「昔の映画で流れてそうだな」などというイメージを持っているものです。

しかしギター・ベース・ドラムだけでは、その雰囲気を出したくてもなかなか出し切れないことがあります。ジャズ風の曲にしたければ、キーボードは思いっ切りジャズの和音を弾きましょう。それが「太陽を赤く塗る」、つまり最適解ということです。赤く塗ってあれば、単なる円でも太陽に見えます。

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数学の極座標で言うと、ギター・ベース・ドラムは大きさ(r)で、キーボードは角度(θ)です。キーボードの演奏と曲の方向性がピッタリ合致すれば、曲の魅力は何倍にもパワーアップします。

 

音域

色塗りの話でだいぶ長くなってしまいました。次に進みましょう。

他の人もだいたいそうだと思いますが、私の場合、キーボードで演奏するのは主に緑の円の辺りです。(一応申し上げますが、この円はかなりアバウトです)

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つまり、ギターのちょっと上を弾いています。ギターの音域を避けることで、それぞれの楽器の音がハッキリと聞こえるようになります。

 

しかし、だからと言ってあまり高音に行き過ぎるのは禁物です。ボーカルが女性の場合、紫の円の辺りを弾くとボーカルの倍音と被ってしまいます。あと弾き方によってはハイハットとも被ります。たまに弾くのは全然構いませんが、常に弾いていると邪魔なので注意しましょう。

更にそれ以上高くなると、誰かと被るということはありませんが、特徴的な音なのでこちらも普段は使わないほうが良い。オーケストラのピッコロのように、ここぞと言うときに使いましょう。

 

ちなみに私は左手もなるべく緑の円、或いは青い円の上半分あたりに収まるように弾きます。これはかなり珍しい弾き方だと思います。それ以上低くなるとギター・ベースと被るので、その低音が重なりまくった状態が私はあまり好きではないのです。

88鍵タイプであればベース並、或いはそれ以上の低音が出せるので、地響きのような超重低音を出すことも出来ますが、これも特殊効果の一つだと思ったほうが良いでしょう。

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また、ギターがソロを弾く際はかなり高音域に進出して来ますので、キーボードは少し低音側にシフトしてあげるとバランスが取れます。

この辺りの音域はギターがいないとき、つまりピアノ・ベース・ドラムのような編成のときにも使えます。と言うか使いましょう。

 

キーボードの音が全く聞こえないバンドをよく見かけますが、だいたいはコレを意識していないのが原因です。フュージョン系・シティポップ系でギターが全く聞こえないバンドも、根本の原因は一緒。

先程言ったように、キーボードは音量の点では他の楽器には全く敵いません。ギターと同じ音域で同じような弾き方をしていたら、聞こえないのは当然です。その状態でピアノを前に出そうと思ったら、ギターの音量を超下げるしかない。

これでは「Win-Win」ならぬ「Lose-Lose」です。音楽の幅を広げるためにキーボードを入れているはずなのに、狭めてどうする。

 

 

さて、もう少し語りたいところですが、ちょっと長くなってしまったので続きは後編で。