今日は楽譜(五線譜)の読み方について勉強します。楽譜が読めなくても音楽は一応出来ますが、読めないよりは読めたほうが何かと便利であることは間違いない。
楽譜とは文字のようなものです。文字が読み書きできなくても言語を話すことはできますが、読み書きできたほうが圧倒的に有利です。先人の素晴らしい作品を読むことができる。自分の考えを沢山の人に発信できる。忘れないようにメモをとることができる。など。
楽譜を読むのに特別な才能など一切必要ありませんから、この機会に是非読めるようにしてしまいましょう。
楽譜とはとても複雑なものに見えるかもしれません。しかし、あの五線上に書かれているのは基本的には「音の高さと長さ」だけです。パラメーターは2つしかありませんから、全然難しくはありません。
…え、楽譜にはもっと色々細かいことが書かれているだろって?
あぁ、上のような奴ですね。実は、これ全部「注釈」なんですよ。音符には「音の高さと長さ」という2つの情報しか含まれていないため、それを補うために補足説明が色々と書いてあるわけです。例えば「強く」「弱く」とか「サビを繰り返す」などの指示ですね。
台本に「すみません」とだけ書かれていても、それだけではどう読めばいいか分かりませんよね。軽く謝っているのか、深々と頭を下げているのか、それとも何か尋ねたいのか。だから「ト書き」が書いてあるというわけです。
このへんを詳しく知りたい方は次のリンクをご覧下さい。
ただし、初心者の方はこんなの勉強しなくていいですよ。変化記号や強弱記号は簡単だから自然と覚えてしまうし、発想記号なんて覚える必要一切ありませんから。
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音の高さ
では、前置きが長くなってしまいましたがぼちぼち始めましょう。まずは音の高さについて勉強します。下の図が何の音を表しているか分かりますか?
そう、ドですね。
左側に書いてあるニョロニョロを「ト音記号」と言いますが、ト音記号が書いてあったらこの位置がドです。この位置から上に行くほど音は高くなり、逆に下に行くほど音は低くなります。
音楽をやったことがなくても、ドの位置ぐらいはほとんどの人が知っているでしょう。
ドの位置さえ分かっていれば、あとは「ド…レ…ミ…」と順番に数えていけばどんな高さの音でも分かるはずです。高さが分かったら、最初のうちは音符にカタカナで「ド」とか「レ」とか、ルビを振っても構いません。あとは慣れの問題です。慣れてくればルビ無しでも一瞬で高さが分かるようになりますよ。
先程「五線上に書かれているのは音の高さと長さだけ」と言いましたが、実は高さについてはほとんどの人が既に理解していたわけです。ということは残るパラメーターは長さだけですから、超簡単ですね。
…あ、ちなみにト音記号は高音を表すのに適した記号ですが、低音を表すのに適したヘ音記号というものも存在します。ベースやチューバ、ファゴットなど、低音楽器をやりたいと思っている人はそちらをマスターしましょう。詳しくは先程のリンクをご覧下さい。
四分音符
さて、次はいよいよ音の長さです。ここが最も重要な部分で、逆に言えばここさえマスターすれば楽譜は読めたも同然です。頑張っていきましょう。
音符には色々な種類がありますが、基本となるのは四分音符です。四分音符とは、先程からちょいちょい登場していますが、こういうやつです。
なぜこれが基本なのか。
何か好きな曲を聞きながら「1、2、3、4、1、2、3、4…」と、リズムに合わせて手拍子をしてみましょう。ほとんど(と言うか全て)の曲でピッタリ合いますよね。音符とは、この手拍子1つ分(1拍と言います)の長さを単位として書かれているのです。
そして、ほとんどの曲でその1拍の長さに相当する音符は四分音符だというわけです。
例えば、童謡「かえるの合唱」の冒頭「かーえーるーのーうーたーがー」に合わせて手拍子をしてみて下さい。手拍子1つ分の長さと、歌詞1文字分の長さがピッタリ対応していますよね。これはつまり、楽譜で書くと次のようになるということです。(最後のニョロニョロは休みのマーク)
同じく童謡「きらきら星」も、1拍と歌詞1文字分の長さが等しいので、次のように書くことができます。
なんとなくパターン分かってきましたか?
では問題。下の楽譜は何の童謡の冒頭でしょうか。(答えは最後に発表)
八分音符
さて、次は音符をもう少し細分化してみましょう。今度は1拍に対して音符が2個ずつ入るパターンです。これは八分音符と言って、次のように書きます。
つまり、リズムを「イ、チ、ニ、ィ、サ、ン、シ、ィ」とカウントしたとき、この一文字分の長さに相当するのが八分音符というわけです。四分音符の半分の長さですね。
ちなみに、上のように書くと音符が何個あるのか分かりにくいので、一般的には次のように2個ないし4個ずつまとめて書かれます。このほうが見やすいし、1拍1拍を意識しやすくなります。
八分音符を使った曲の例としては「うれしいひな祭り」の冒頭。
或いは「どんぐりころころ」など。
手拍子を1回打つ間に2文字ずつ歌われているのが実感できますか?
点が付くと1.5倍
ではここで、ちょっと応用問題。
四分音符は1拍分の長さ。八分音符は0.5拍分の長さです。ということは、これらを組み合わせて1.5拍分の長さの音符を作り出すことも可能になります。四分音符の右側に「点」を打つと、1.5拍分の長さの音符を表すことができます。
(点には、長さを1.5倍にしなさいという意味があります)
上の譜例の場合「イ、チ、ニ、ィ」というカウントの中で「イ、チ、ニ」の間は最初の音符を弾いて、最後の「ィ」のときに次の音符を弾く、という意味になります。ちょっと難しいですね。
実際の例としては「ドレミの歌」など。
また、点を打つ代わりに「⌒」のマークで音符同士を結ぶこともあります。結ばれた音符は合体して一つの音符になります。こちらも覚えておきましょう。
この辺について詳しく知りたい方はこちら「音符の延長(付点・タイ)」をご覧下さい。
さて、音符にはまだまだ沢山の種類がありますが、ちょっと長くなってしまったので続きは後編で。ちなみにさっきの問題の答えは「チューリップ」です。