音楽理論 ざっくり解説

音楽理論をざっくり解説します。最低限のポイントだけ知りたい方へ

拍子 前編

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今日のテーマは「拍子」です。

前編では楽譜が読めない初心者の方向けに基本事項を説明いたします。既にある程度の知識がある方は、前編は適当に読み飛ばして後編からお読みください。

 

拍子とは、強拍とそれに付随するいくつかの弱拍によって形成されるリズム周期のことです。

…え、何言ってるか分からない?

 

4拍子 

えーと簡単に言うと、とりあえず何か適当な曲のリズムに合わせて「1、2、3、4、1、2、3、4…」とカウントをしてみましょう。

この「ズン、チ、チ、チ」の「ズン」を「1」、「チ、チ、チ」を「2、3、4」とします。試しにこのリズムに合わせて童謡メドレーを聞いてみましょう。

はい、ピッタリ合いますね。 

この「1、2、3、4」という一つの区切り(周期)のことを「拍子」と呼びます。

また、4という周期でカウントできる曲の拍子のことを「4拍子」と言います。普段よく聞くポピュラー音楽はほとんどが4拍子です。他にもご自身の好きな曲を聞きながら「1、2、3、4」とカウントしてみましょう。ほとんど(と言うか全て)の曲でピッタリ合うはずです。

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3拍子 

さて、拍子がカウントの周期であるならば、当然4以外のカウントで進行する曲も作ることができます。次に紹介するのは3拍子です。

これは「1、2、3、1、2、3」というカウントをすることでリズムがピッタリ合う曲のことです。クラシックでワルツやメヌエットと呼ばれる曲は3拍子です。

ポピュラー音楽では数が少ないのでなかなか例を挙げるのが難しいところですが、童謡だと「ぞうさん」「こいのぼり」など。

 

あとは、AKB48の「願いごとの持ち腐れ」

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諫山実生の「月のワルツ」

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などが3拍子です。

あと、分かりにくいが実は3拍子である曲の例としては、誕生日に歌う「Happy Birthday to You」や、ラヴェルの「ボレロ」など。

 

2拍子

4→3と来たので、次に紹介するのは2拍子です。これは「1、2、1、2」とカウントするので、4拍子とあまり変わりません。

 

では何が違うのか。図で説明すると次のようになります。

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冒頭で言ったように拍子と言うのは強弱のパターンのことであり、基本的には「1」とカウントする部分がアクセントになっています。4拍子は「強、弱、弱、弱」、3拍子は「強、弱、弱」、2拍子は「強、弱」です。

4拍子の3カウント目は一般的には中強と呼ばれますが、ここでは分かりやすく「弱」と言っています)

つまり4拍子の3カウント目は弱(あるいは中強)でカウントするのですが、2拍子の場合は中強などと言う生易しいものではなく、1カウント目と同じパワーでアクセントを置きなさい、と言われているわけです。

これは感覚の問題なので、文章で説明するのは非常に難しい。初心者の方には違いが分からないかもしれません。

しかし2拍子を4拍子でカウントしても、或いは4拍子を2拍子でカウントしてもそれほど問題はありませんのでご安心ください。

 

とりあえず、例としてはこちら。

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この「ズン、チャ、ズン、チャ」というリズムが「強、弱、強、弱」になっているのがお分かり頂けるでしょうか。

たまに「拍子の数え方が分からない。2で数えようが3で数えようが一緒じゃないのか」と言う人がいますが、さすがにこの「ズン、チャ」のリズムを「1、2、3」と数える人はいないでしょう。

歩くときに「右足、左足、右足、左足」というリズムを「1、2、3、1、2、3」と数える人はいません。普通は「1、2、1、2」と数えます。なぜならそのほうが単純で合理的だからです。「1、2」で数えれば必ず同じ足と同じ数字が対応しますが「1、2、3」だと足と数字がバラバラになってしまう。非合理的です。

 

そもそも(これは私の個人的な意見で、科学的根拠も何も無いのですが)本当に拍子が分からない人などいないはずです。

何度も言いますが拍子とはリズムの規則性なので、仮にそれが分からないならば、俳句を聞いても全くリズミカルだと思わず、スキップも縄跳びもできず、歌はどこで歌い出せばいいか分からず、おそらく曲のテンポも知覚できないはずです。しかし、そんな人を私は見たことがありません。(スキップは何人かいるw)

拍子が分からないと言う人は、体ではちゃんとリズムを感じ取っているのに、それを意識できていないだけです。

 

例えば、童謡チューリップ(さいたさいた)を聞いてみましょう。

4拍子。拍子を分かりやすくするために、強弱を極端につけていますが、それ以外は至って普通のチューリップです。

 

ではこのドラムが3拍子になったらどうなるでしょうか。

いた さい

チューリップの なが 

ならんだ らん

か しろ きい

はなても きれだな 

 

太字にアクセントを置いて歌ってみましょう。かなり違和感があるはずです。

もし、4拍子バージョンと3拍子バージョンどちらも変わらない。むしろ3拍子のほうが歌いやすい! という人がいたら、私は先程の説を引っ込めます。(何回も練習しては駄目ですよ。私は確認のために何回も聞いたので、すっかり違和感が無くなってしまいましたw)

これを気持ち悪いと思うならば、実はちゃんと拍子を感じ取れているということです。

 

それ以外の拍子

では、それ以外の特殊な拍子を解説して終わりにしましょう。

代表的なのは5拍子と7拍子で、これらは混合拍子と呼ばれます。また、一曲の中で拍子がコロコロ変わるものもあり、こちらは可変拍子と呼ばれるようですが、ポピュラー音楽ではどちらも「変拍子」と呼んでしまいます。

 

もういちいち説明しなくてもお分かりだと思いますが、5拍子とは「1、2、3、4、5」というカウントでリズムがピッタリ合う曲のことです。

例としては、ミッション:インポッシブルのテーマの冒頭。

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7拍子の例としては、ビートルズの「All You Need Is Love」のAメロ「love love love」と歌っているところ。(正確に言うと、4拍子と3拍子の交替)

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拍子がコロコロ変わる曲の例としては、民謡「あんたがたどこさ」や、ゴジラのテーマ。

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試しにカウントしてみましょう。

イントロ

4、4

メイン部分

2、2、3

2、2、2、3、2

2、2、3

2、2、2、4、4

2、2、3

2、2、2、3、2

2、2、3

2、2、2、4、4

2、2、3、2

6、2、4、4、4

(メイン繰り返し)

 

かなり複雑ですが、正しくカウントできましたか? 6とか4の部分は、もしかしたら正式な楽譜では「4、2」とか「2、2」となっているかもしれません。

 

ちょっと話がズレますが、私はこのゴジラのテーマの不規則な拍子を聞くたびに、ゴジラがランダムに街を破壊していく様子を想像してしまいます。「1、2、1、2」と規則的にビルを壊していたら何も面白くありません。ゴジラが「次はどれにしようかな」と考えながら不規則なリズムで壊していくからこそ恐怖が生まれるのです。名曲です。

 

さて、拍子の基本的な概念が理解できたでしょうか。後編では楽譜も絡めて解説いたします。

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