音楽理論 ざっくり解説

音楽理論をざっくり解説します。最低限のポイントだけ知りたい方へ

和声法 後編

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和声法 後編です。前編はこちら(和声法 前編

前編では和声の基本的な考え方を学びました。しかし私が和声を勉強していたときにず~っと分からなかったのは、この単なる和音の繋がりをどうやって実際の作曲に活かせばいいのだろうか、ということです。

実際の曲では音が動き回ります。音の動かし方にも色々ルールがあるので、後編ではその辺りを勉強してみましょう。

 

内部変換

内部変換とは、簡単に言うと和音の形が変わること。1つのパートだけ動かしてもいいし、全部動かしてもいいし。好きにやっちゃいましょう。(1つのパートだけ動くのは、正確には「修飾音」と言います)

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修飾音を入れまくっていると、うっかり第3音が欠如してしまうことがありますが、それは問題ありません。修飾音は「一時変化音」なので、その一挙手一投足を気にする必要はありません。大事なのは元の音(最初の状態)です。

 

内部変換しながら、こっそり和音をマイナーチェンジすることも出来ます。

代表的なのは「G→G7→G9」とテンションを増やしていくパターンです。「F→D/F#→G」の「F→D/F#」の部分を内部変換風に組み替えるのもオシャレですね。あとは強いて言うならⅣの和音に付加音を入れるとか。

このように、単純な和音から複雑な和音へと変換するのはOKですが、「複雑→単純」は基本的にはNG。あ、あとね、内部変換中に7thの音は根音に進行してはいけない! 9thの音が3rdに行くのもダメ! あと重複しちゃったりすると面倒なので、限定進行音を修飾音に用いるのも駄目だ! 分かったか!

 

分からん! ヽ(#`Д´)ノ

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さて、先程言ったように内部変換で大事なのは元の音です。よって基本的には前の和音が責任者で、後の和音は残像だと思ってください。連続5度や8度の責任は、だいたい前の和音に押し付けられます。

…ということは、残像を使って連続5度や8度を切り抜けようとしても無駄だということです。

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しかし、いくら前の和音が責任者だと言っても、やはり限定進行音は最後の和音が責任持って解決しないと気持ち悪い。という特殊ルールもあり、なかなか覚えるのが難儀なところです。

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転位音

ともかく、これで和音の構成音は自由に扱えるようになりました。残りは和音に含まれない音。Cのコードで言うと、レ・ファ・ラ・シですね。

これらの音は、和音の構成音が一時変化した音であると考えます。例えばレの音は、ドが一時的に上がった形。ファはミが一時的に上がった形。など。

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こう考えることで、全ての音が扱えるようになります。この辺について詳しく知りたい方はこちら「非和声音(和音外音)」をご覧下さい。

 

転位音にも細かいルールが色々あるのですが、代表的なものとしては「倚音・掛留音が鳴っている最中に、元の音(解決先の音)を鳴らしてはいけない」というものです。

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例えばCコード上でレの音が鳴ったら、皆驚くじゃないですか。「うわ、このレは何だ! 凄い不協和音だぞ!」と。

でもそれがドに解決した瞬間「あ、ドの転位音だったのか。良かったー」とホッとするわけです。音楽にはそういう緊張と緩和が大事なのです。

でも最初からそのドが別パートで鳴っていたら「あ、このレはどうせドの転位音でしょ?」とバレてしまいます。全然ドキドキしません。

譜例1のようにバスパートで鳴るのは仕方ないとして、バス以外で鳴るのはダサい。譜例2のようにレより上でドが鳴ったらもう最悪! あと、経過音や刺繍音のときに譜例3のようにGコード上でシとドが同時に鳴っちゃうのも良くない。

ま、でもこういうのって作曲をカジっていれば何となく感覚で分かりますよね。

 

転位音関連の連続・並達の規則は、ゴチャゴチャしていて私も法則性がよく分かりません。

2音が反行した結果、連続が生じた場合。それから倚音が絡んだ場合の連続・並達は、けっこう見逃してもらえます。とりあえず、内部変換のときと同様、変化前の状態に戻してみてルール違反が無ければそれほど問題ありません。

この辺まで来ると「耳で聞いて変じゃなきゃOK」的なノリは正直あります。

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例えば、上の譜例左のようにG7の後に「C+倚音」を連結させるとします。普段通り連結させるとアルトパートにドが登場してしまうので、先程の倚音のルールに抵触します。しかも音がぶつかって汚い。

よって、こういう場合は譜例右のように、導音の限定進行を無視してもいいことになっています。連続・並達に続いて限定進行まで見逃すなんて、芸大和声は倚音のこと好きすぎだろw どれだけ甘やかすんだよw

 

偶成和音

各パートが自由に動いた結果、変な和音が偶然出来上がってしまうことがあります。偶然成立したので、偶成和音と言います。

 

偶成和音は偶然成立してしまったものなので、コード進行の規則やら何やらは適用されません。不可抗力です。

下の譜例のそれぞれ2拍目の和音は、ご丁寧にDm/CやCdimと分析するのではなく、Cのコード上で各パートが動き回った結果、偶然成立してしまった和音であると考えます。

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最初にも言いましたが、実際の曲では非和声音や偶成和音のオンパレードですよね。だから和声ではこれを最後に勉強して、「はい、これで実戦で使えますよ」となるわけです。

さて、今までの考え方を使って例のコード進行をアレンジするとこうなります。(怪しい部分が何箇所かありますが、ご愛嬌と言うことで…)

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さっきまでと変わりすぎw

しかしやっと「曲」になりました。これですよ!私が書きたかったのはこういうものです!

和声の定番の教科書「芸大和声」では、これが3巻の最後のほうに出てきます。長い!途中で飽きるわw

険しい山道を登り続け、途中で大勢の人が脱落していき、やっと山頂までたどり着いたほんの一握りの人にだけこんな素晴らしい景色を見せてくれる。和声とは、そんなツンデレの技法なのです。

 

え? 何か対位法っぽい?

おぉ、鋭い指摘ですね。実は和声法とは、対位法を「和音の繋がり」という観点からまとめ直したものなのです。同じ山を違う角度から見ているだけですね。なので和声法は難しくなってくると対位法っぽくなってしまいますし、対位法も声部が多くなってくると和声法っぽくなってしまうのです。

対位法に関してはこちらで解説しています。

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以上、駆け足で説明してしまいましたが如何でしたでしょうか。

色々語ってきましたが、結局は実際のスコアを見て勉強するのが一番です。外国語だってネイティブと会話するのが一番上達します。和声を通じてモーツァルトやベートーベンのような巨匠達との会話を楽しんでください。

ベートーベンだって、意外とデレ~っとしてくれるかもしれませんよw

 

 

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