今回のテーマは西洋音楽史です。
一般に「西洋音楽史」と言ったときに表すものは、クラシック音楽の歴史です。
プレスリーやビートルズのような流れを想像した方は残念でした。
古代ギリシア
「クラシック音楽」と言ったときに多くの方が連想するのは1700年頃から1900年頃までの作品だと思われます。
では、クラシック音楽の歴史もその辺りからなのか……と思いきや、実は紀元前から始まります。
なぜかと言うと、古代ギリシアで旋法や音程など、音楽理論の基礎が出来上がったり、合奏という文化が出来たからです。
こちらについて詳しく知りたい方はこちら「古代ギリシア音楽 前編」をご覧下さい。
中世
その古代ギリシアの音楽理論がそのまま後世に受け継がれていれば良かったのですが、西ローマ帝国の滅亡により、西ヨーロッパの文明は一旦停滞します。
そんな時代ではありますが、教会では聖歌が歌われており、これが徐々に進化していきます。
具体的には、教会旋法の成立、楽譜の先祖であるネウマ譜(古ネウマ)の誕生、オルガヌムの発明・体系化などです。
どれも素晴らしい発明ではありますが、クラシック音楽の最大の特徴が「和声」であることを考えると、オルガヌムによってクラシック音楽はその第一歩を踏み出したと言っても過言ではありません。
この辺りの時代について詳しく知りたい方はこちら「中世前半の音楽 前編」をご覧下さい。
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さて、そんなわけで次にやって来るのがバロック時代です。対位法全盛の時代ですね。不協和音の処理方法などが確立され、複雑なフーガが書けるようになりました。
また、イタリアではオペラ誕生に伴って曲がジャンジャン量産され、この時代のクラシック先進国はイタリアになります。
そして、お待たせいたしました。バロック後期に登場するスーパースター。その名はもちろんJ S バッハ! …ではなく、実はヘンデルやテレマンですw
二人は超売れっ子の作曲家。フェスで何万人もの観客を熱狂させるようなアーティストです。バロック後期、既に音楽の主流はポリフォニーからホモフォニーへと移り変わりつつありました。二人はどちらかというとホモフォニー風の作品を多く書いたので、言ってしまえば「一般受け」したのです。
ちょっとテレマンの曲を聞いてみましょう。
中世ヨーロッパ感がだいぶ漂っているのは仕方ないとして、バッハの曲よりは聞きやすいと思いませんか?
バッハの曲はこちら。
説明不要の超ポリフォニーですねw
過去の技法を完璧に習得し、自分流にアレンジし、これ以上なく複雑で荘厳でトップレベルの芸術性を纏った作品を作るのですが、如何せん時代遅れ。マニア向けなので、一切流行りません。
知り合いからも「バッハさんって昔っぽい曲を作るの上手いな~」などと思われていたようです。褒められてんだか貶されてんだか…。
今で言うと、ドット絵職人みたいなものですね。綺麗なCGで可愛い女の子を描くのがヘンデルやテレマン。それに対して、ファミコンの時代が終わり、もはや絶滅危惧種となったドット絵職人の生き残りがバッハです。しかもそのドット絵はやたら複雑で芸術的。好きな人にはたまりませんが、一般受けはしません。
一般受けしないので、仕方なくコツコツと作ってはネット上にアップしていました。テレマン達とは知名度が全然違います。
ではなぜそんなバッハが現在は大人気作曲家になったのか。彼の死後、メンデルスゾーンという人気作曲家が彼の作品を偶然発見し、リツイートしたからです。元々クオリティは申し分なかったわけですから、一気に世界中で評価されるようになりました。
めでたしめでたし。
ちょっと長くなってしまったので続きは後編で。