音楽理論 ざっくり解説

音楽理論をざっくり解説します。最低限のポイントだけ知りたい方へ

ドラムセットの配置

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今日は頑張ってこんなテーマに挑戦です。

何度も言っていることですが、私はピアノ弾きです。ドラムの知識はゼロと言っても過言ではありません。しかし、そんな私も長年不思議に思っていることがあるため、敢えてこのテーマにチャレンジしてみようと思いました。

それは、「なぜ左手でスネアを叩くのか」です。

 

一般的にドラマーは手を交差させて、右手でハイハット、左手でスネアを叩きます。窮屈そうに手を交差させることももちろんですが、それ以上に私が気になっているのは、なぜ重要なスネアをわざわざ左手で叩くのか、ということです。

例えば他の楽器で言うと、弦楽器は左手で弦を押さえ、右手でピッキングをします。

一見弦を押さえるほうの手が複雑な動きをするので、左手でやるのは大変ではないかと思われますが、実は弦楽器で重要なのはピッキングなのです。ピッキングにこそプレイヤーのカラーが出るので、そのためピッキングが右手なのです。

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さて、今の理屈をドラムに応用するとどうなるか。

ドラムで一見複雑な動きをしているのはハイハットです。よって、そのハイハットを右手で叩くのは合理的であるように思われますが、ドラムで重要なのはスネアであるはずです。スネアの叩き方にこそドラマーのカラーが出るに違いない。よってスネアを右手で叩くべきである。

 

そうなると思いませんか?

なのに、です。ドラマーは手を交差させて叩きます。一度左利きのドラマーとバンドを組んだことがありましたが、彼はわざわざハイハットを右側に持って行って叩いていました。そんな大変なことをしてまで利き腕ではないほうの手でスネアを叩くのです。

 

ではその理由、お教えしましょう。

最大のポイントは、「右手から叩き始めないと不便である」ということです。

例えばタムという楽器は、音が高いものから順番に時計回りに並んでいます。フィルインを叩くときによくドコドコ…と音が高いタムから低いタムへと流れていくのですが、このとき仮に左手から先に叩き始めてしまうと、次のタムへ移るときに毎回手が交差する形になり非常に叩きづらい。

 

また、16ビートで下図のようなパターンを叩くときも、最初のハイハットを右手から叩き始めればスネアがスムーズに叩けますが、左手から叩き始めてしまうとスネアを叩くときに右手が邪魔になる。

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よって、ドラムは何でも「右手から叩く」と決めてしまったほうが都合がいい。パターンの中で最初に叩くものは基本的にハイハットですから、もういっそ普段はクロスハンドのほうが操作性がいい、ということになってしまうのです。

 

ドラムセットの配置が左右反転したらどうなるか。交差という問題が残るものの、右手でスネアを叩くことはできる。

しかし更なる問題が次々やってきます。まず先述の16ビートのときに結局左手でスネアを叩くことになってしまう。そして「足」という難関が目の前に立ちはだかります。

バスドラムは右足で叩きます。(踏む、という言葉のほうが適切かもしれませんが)おそらく腕同様、大多数の人が利き足も右だからでしょう。私も利き足は右なので、左足でバスドラを踏め、と言われたらかなり大変です。配置が反転したらハイハットが右足でバスドラが左足ですから、利き足が遊んでいるのは勿体無いし、左足はリズムが狂いそう。

(ちなみにハイハットとは、昔々バスドラを踏む右足と一緒に左足も激しく動かしていたドラマーがいて、「そんなに激しく動かすなら左足も何か踏めば?」と言われたことがきっかけで開発されたとされています)

 

さて、そろそろ結論。

ドラムセットとは色々な配置や叩き方があり、それぞれがメリット・デメリットを抱えながらも、結局は一般的なクロスハンドの叩き方がデメリットが少なく合理的である、ということのようですね。

今度テレビやライブでドラマーを見かけたら、そういった先人の知恵や歴史を背負って叩いている彼らを応援してあげてください。

 

私も「ドラムは音階がないから楽でいいなぁ」なんて思ってた自分を反省しますw