今日のテーマは装飾記号です。
ある音をファビュラスにするための飾りのことを装飾音といい、それを楽譜上に記すマークのことを装飾記号といいます。
早速紹介しますが、とりあえず代表選手はトリルです。
トリルとはトレモロの一種で、2度以内の音を反復して演奏することを指します。ちなみに増2度のときはトリルとは言わないようです。
上の譜例のように「ドレドレ…」と反復させるのが一般的なやり方ですが、バロック時代には「レドレド…」と演奏されていたようです。そんな事情もあり、トリルを指示する際は混乱を避けるために下の譜例のように反復させるべき音をカッコで書いてあげると親切です。
今バロック時代の話が出ましたが、バロック時代には装飾記号が大活躍していました。とにかく隙あらば装飾記号を入れる。演奏者は装飾記号が書いてなくても即興で装飾する。装飾しすぎて元の旋律が分からない! なんてことも多々あったようですw
バロック末期から古典派初期ぐらいにはそんな「装飾しまくる曲」が沢山生まれ、音楽界におけるロココ様式が起こります。
細か~い装飾をいたるところに施した美術作品のことを「ロココ様式」と言いますよね。こういうやつ「ロココ様式 - Google 検索」です。
音楽界にも一時期そういうブーム(?)があったということです。
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ではここで、よく登場する装飾記号をいくつか紹介しましょう。
まずは「ターン」です。なんか富士通のロゴみたいですね。
続いて「プラルトリラー」
あと「モルデント」
このへんが有名どころです。
バッハが後進の教育のために「装飾音一覧表」みたいなのを作っているのですが、その表にはこれ以外に11種類の記号が紹介されています。しかも全部似たり寄ったりで違いがよく分からないwww しかもバッハが実際に用いた装飾音のバリエーションはそれより遥かに多いらしいwww 鬼かよwww
上で紹介した記号以外のものはおそらく一生見ることはないし、そもそも装飾記号というのはその時代や地域によって弾き方がバラバラなので、覚える必要は一切ありません。不運にも遭遇してしまったらその都度調べましょう。もしくは解説が書いてあるはずです。
バッハの一覧表も、あくまで「バッハはこのように弾く」ということであって、それが唯一絶対の正解ではありません。
さて、バロック時代の人はなぜこのように音を装飾しまくっていたかというと、当時はチェンバロが中心楽器だったためです。チェンバロは音の強弱がつけられず、しかも音がすぐに減衰してしまうため、音を強調するためにターンなどを入れたり、ロングトーンを表現するためにトリルを入れたりしたようです。
しかしピアノの発明により音の強弱が自在につけられるようになると、次第に装飾音は(バロック時代ほどには)用いられなくなりました。
また、装飾「記号」について言うと、先程言ったように時代や地域によって弾き方がバラバラだったため、その曖昧さを避けるために記号ではなく音符を具体的に書く方法が主流になりました。
では装飾音を音符で具体的に書く方法を勉強して終わりにしましょう。
基本的には装飾したい音符の前にどのように装飾するかを小さな音符で書くだけです。斜線があるパターンと無いパターンの違いですが、斜線が無い場合は小さな音符をそのままの音価で弾き、斜線がある場合はできるだけ短く弾くという意味になります。
ただし、この斜線があるパターンの弾き方も色々と面倒なことになっており、とりあえずロマン派ぐらいまでの時代は上の譜例のように弾き、近代以降は下の譜例のようにちょっと前から弾き始めるようです。
ポピュラーでもこのように弾く場合がほとんどですね。意外とドラムの譜面によく登場するのではないでしょうか。
もちろん、複数の音符を書いてもいいんですよ。
装飾音が複数になる場合、斜線は書かないのが正式なルールだそうです。でも書いてしまっても別に問題はありません。私もつい書いてしまいます。どうも斜線がないと装飾音っぽく見えなくて…。
さて、今回は装飾記号について勉強しました。装飾音をたくさん使ってロココな雰囲気の曲を書いてくださいね。
そう言えば、あのファビュラスな姉妹の姉の愛称は「ココ」だそうですが、ロココとは何か関係があるのでしょうか。