コードとは、和音をアルファベットと数字で簡略化して表したものです。
和音とは、下譜例のように2つ以上(大抵は3つ以上)の音を同時に鳴らしたものです。
普段我々が聞くような音楽は、歌(主旋律)だけでは成立しません。楽器による伴奏が必要です。
では伴奏とはどのように演奏されるのかと言うと、だいたいは次のように和音の形になっています。
(ちなみに曲は童謡「ぶんぶんぶん」です)
この伴奏部分を、次のように簡略化して書く場合があります。
このアルファベットと数字の組み合わせをコードと言います。
ちなみに正式名称は「コードネーム」と言うのですが、英語圏では「コードシンボル」という言い方もするようです。
例えば「ドミソ」の和音を「C」という記号で表します。
同様に「レファラ」を「Dm」と書き、「ソシレファ」をG7と書きます。(表記方法については後程解説します)
作曲をする際には五線紙上に「ドミソ」と書くのではなく「C」と記入し、演奏する際には「C」という記号を見て「ドミソ」という和音を弾くのです。
厳密には全ての和音がコードの形で表記できるわけではありませんが、普段我々が聞くロックやポップスの範囲で言えば、全ての和音はコード表記できると言っても過言ではありません。
テキトーに演奏する
…え、そんな面倒なことしないで、ドミソを弾いて欲しいならドミソと書けばいいだろって?
確かにその通りです。
しかし、例えばギターって和音をジャカジャカ弾く楽器ですよね。あのジャカジャカが全て音符で指定されていたらどうでしょうか。
「1拍目がドミソ、2拍目がソシレ、3拍目がまたドミソで、4拍目がファラド、いや待てよ、3拍目の途中から既にファラドだな…」
いや~、読むのメンドクサイですね。しかもリズムも複雑です。
「えーと…ジャンジャカ ジャン…いや、違う…ジャンジャン ジャカジャカ…いや、待てよ…」なんてやりますか?
こんなの絶対弾けないし、覚えられないし、やりたくないですよね。
そこで、次のようにコードで表すわけです。
CとかGというアルファベットたった一文字書けば終わりです。
このほうが、作る側も演奏する側も楽ですよね。
CやGというコードは「ドミソ」「ソシレ」という和音を表す記号でしかありませんから、これだけではどのようにジャカジャカ弾けばいいのか分かりません。
ではジャカジャカは一体どうすればいいのかと言うと、「その場のノリで適当にやってくれ」ということです。
つまり伴奏部分がコードで記されていた場合、和音の音(例えばドミソ)さえ正しく弾いていれば、リズムは適当でいいのです。
言葉は悪いですが、ギターは適当にジャカジャカやってりゃ誤魔化せる楽器です。
だからコードで書いてくれたほうが都合がいいのです。
一方ピアノの場合はどうかと言うと、ピアノはギターほど和音をジャカジャカする楽器ではありませんが、「コードで指定された音をその場のノリで弾いていく」という点では全く一緒です。
ただピアノは演奏の選択肢が多いだけに、コツを掴むまではどう弾くべきか悩むかもしれません。
そのへんの詳細はこちら「ピアノでコードを弾く(ソロ)前編」に書いてありますので、詳しく知りたい方はご覧下さい。
弾き語りのミュージシャンを見ると「うわ~、歌いながらギターも弾くなんて凄いな~」って思いますよね。
でも実はあのギターは適当にジャカジャカやってるだけなのです。慣れれば誰でも簡単に出来るようになりますよ。
表記方法
では最後に和音をコードで表す方法を軽く勉強して終わりにしましょう。
基本的に和音というものは、まず最低音が存在して、そこに音をいくつか積み重ねたお団子のような形をしています。
最低音さえ分かればあとは団子を作ればいいだけなので、コードで大事なのは最低音を表すことです。
最低音は大文字のアルファベットで表されます。ドから順番に「CDEFGAB」です。
つまり、Cと書いてあったらドが最低音、Dと書いてあったらレが最低音、Eと書いてあったらミが最低音です。
このへんを詳しく知りたい方はこちら「ドレミはCDE」をご覧下さい。
さて、音を積み重ねて団子を作ると言っても、積み重ね方によって和音の響きはかなり変化します。
全部紹介したいところですが膨大な量になってしまうので、初心者の方はとりあえず次の2つのパターンだけ覚えましょう。
左側の和音は「ドミソ」という最も単純な和音ですが、これは明るい響きの和音です。
ドを最低音とする明るい和音なので、これを「C メジャー コード」と呼びます。
(英語の「major」に「明るい」という意味は無いのですが、説明を簡単にするために敢えてこう表記します)
それに対して、右側の和音はミの音が半音下がった形なのですが、これはどことなく暗い響きがしますね。
ドを最低音とする暗い和音なので、これを「C マイナー コード」と呼びます。
しかし普通は「Cメジャーコード」「Cマイナーコード」と呼ぶことはありません。
Cメジャーコードの場合、大胆にも「メジャー」と「コード」を省略して「C」と呼んでしまいます。
Cマイナーコードの場合は「コード」を省略して「Cマイナー」と呼ばれます。
(つまり「C」という言葉には、ドという音名の意味と、Cメジャーコードの省略形という2つの意味があるので、間違えないように注意しましょう)
初心者の方は、とりあえずこの「メジャーコード」と「マイナーコード」だけ覚えてください。
コードの最後尾に7とか9などの数字がくっつくことがありますが、数字は基本的には追加音を表す記号なので、省略しても間違いではありません。
(省略しても、音が足りなくなるだけで、別に音が濁るわけではない)
これだけで、簡単な曲だったら弾けるようになってしまいますよ。
最低音が変わると…
先程CとCmについて勉強しました。
これらは最低音がC(ド)であるわけですが、それ以外の音が最低音になったらどんな和音になるでしょうか。
次はそれを勉強してみましょう。
1オクターブ中には12個の音が存在するので、最低音となる音のパターンは全部で12種類ですね。
この12個の最低音に対してそれぞれメジャーとマイナーの2パターンが存在するので、メジャーコードとマイナーコードは合わせて24種類あることになります。
記憶力に自信のある方は24種類全て丸暗記してもいいのですが、ちゃんと法則が存在しますので一応それを見てみましょう。
(どちらにしても毎日使ってるうちに自然と暗記してしまうんですけどね)
ちなみに…。
これから先は鍵盤を使って解説をしますので、ギターやベースの方には直接は関係のない内容になります。
しかし、ギターやベースでも編曲をしたりアドリブを弾いたりする際には以下の知識が必要になってきますので、やる気のある方は読んでおきましょう。
まず、先程のCとCmのコードを鍵盤上で見てみましょう。
Cのコードは「ド ミ ソ」、Cmのコードは「ド ミ♭ ソ」という音で作られています。メジャーコードに対して、真ん中の音が半音低くなるとマイナーコードに変化するのです。
具体的に言うと、最低音から数えて鍵盤4つ分先に真ん中の音がある場合はメジャーコード。3つ分先にある場合はマイナーコードです。
一方、ソ(一番上の音)はメジャー・マイナーに関係なく共通です。
一番上の音は、最低音をサポートするような役割を持っています。サポートしているだけなので、響きが明るいか暗いかには関係しません。
メジャーコードの場合、真ん中の音から数えて鍵盤3つ分先に一番上の音が存在します。マイナーコードの場合は鍵盤4つ分先です。
最低音から数えると、どちらも7つ分先ですね。
まとめると、メジャーコードは最低音から4つ先に真ん中の音、さらに3つ先に一番上の音が配置されています。
マイナーコードは最低音から3つ先に真ん中の音、さらに4つ先に一番上の音が配置されています。
では最低音を他の音に変えて考えてみましょう。
例えばD(レ)だったらどうでしょうか。
Dのコードは、真ん中の音がレの4つ先なのでファ#、一番上の音はさらに3つ先なのでラです。
よって「レ ファ# ラ」という配置になりますね。
Dmのコードは、真ん中の音がレの3つ先なのでファ、一番上の音はさらに4つ先なのでラです。
よって「レ ファ ラ」ですね。
いきなりですが、ここで問題です。
最低音がG(ソ)のときとB♭(シ♭)のときのメジャーコードとマイナーコードは、それぞれ何の音になるでしょうか。
答えは下にあるので、分かったらスクロールして下さい。
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はい、では正解発表です。
まずは最低音がGのときです。
Gのコードは、真ん中の音がソの4つ先なのでシ、一番上の音はさらに3つ先なのでレです。
よって「ソ シ レ」という配置になりますね。
Gmのコードは、真ん中の音がソの3つ先なのでシ♭、一番上の音はさらに4つ先なのでレです。
よって「ソ シ♭ レ」ですね。
次に最低音がB♭のとき。
B♭のコードは、真ん中の音がシ♭の4つ先なのでレ、一番上の音はさらに3つ先なのでファです。
よって「シ♭ レ ファ」という配置になりますね。
B♭mのコードは、真ん中の音がシ♭の3つ先なのでレ♭、一番上の音はさらに4つ先なのでファです。
よって「シ♭ レ♭ ファ」ですね。
この法則が分かっていれば、コードがどんな音を表しているか自力で導き出すことができます。
ネットで色々な曲のコードを検索して、ピアノやギターで弾いてみましょう。
メジャーコードとマイナーコードをマスターしたら、次は7とか9とかdimとか、もっと難しいコードについて勉強しましょう。