楽典を学ぶにあたってのオススメの教科書を紹介いたします。
和声を学ぶなら文句なしで音楽之友社から出版されている芸大和声なのですが、では楽典を学ぶときも同様に音楽之友社の黄色い本か…と言うと、そうでもない。
なぜなら、本編中(楽典)でも少し触れていますがあれは教科書と言うよりは辞書です。
悪い意味で文章が簡潔すぎて、おそらく初心者の方はあれを読んでも何も分からないと思います。しかも残念なことに、それほど難しい(マニアックな)内容を扱っているわけでもない…。
一方、白い表紙のほうの「楽典」は、黄色い本に比べるとかなり踏み込んだ内容まで扱っていて素晴らしい。
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しかし初心者にとって分かりにくいことには変わりないw
黄色い本と白い本には問題と解答がくっついているので受験生にはオススメなのですが、ポピュラー音楽を始めたばかりの方はやめておいたほうがいい。
…というわけで、本当のガチ初心者であればオススメするのはこちら。
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ドラえもんの学習シリーズ「楽譜が読める」です。私も小学校の頃に読みましたが、まだあるようです。懐かしいwww
記憶を失ったファルセット星の王子シドと共に音楽の勉強をしましょう。ドラえもんが丁寧に解説してくれるので、のび太やジャイアンでも楽譜が読めるようになります。
子供向けと侮るなかれ。楽譜の読み方から成り立ちに至るまで、けっこう細かく書かれていますよ。
続いては、青島広志の「楽典ノススメ」
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古い本なので楽天には中古しかないようですね…。
黄色い本を踏襲しつつ、それ以上のマニアックな部分にも踏み込んでいます。著者が作曲家なので、近代の和音などにも(ほんの少しですが)触れています。
青島氏の本は文章が独特なのですが、それが気にならない方であれば非常にオススメです。基本的に青島氏は「お前、それ冗談で言ってるなら全く面白くないし、本気で言ってるなら色々と問題だぞ」という文章を書くので、中にはアレルギーを引き起こす方もいるかもしれません。
あとは、故・芥川也寸志の「音楽の基礎」
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基礎と言いながら、こちらもかなりマニアックな部分に踏み込んでいます。新書でこのレベルはオカシイwww
こちらも著者が作曲家であるためか、黄色い本には書いていない東洋の音楽や現代音楽にも触れています。
しかし作曲の本ではないため「こんな曲もあるんだよ」と紹介するに留まっているのが何とももどかしいところ。
ちなみに芥川氏、それから指揮者の岩城宏之氏などは著作を読んでいると「日本の音楽教育は封建的だ!もっと自由にやらせろ!」という発言が目立ちます。
これは「死に物狂いで練習したってプロになれるわけじゃないんだから、子供が音楽好きになってくれるような教育をしなさい」という意味の発言なのですが、どうも伝わりにくい。
そのまま「楽譜なんて無視しちまえ!」のような意味として受け取った人も多数いるのではないかと思ってしまうのですが…。
まぁ上の発言は先生達が活躍なさっていた時代のものなので、その頃は何でも「封建的」と言っていればウケが良かったのでしょう。
上の発言を真に受けて、私のように練習を一切しない人間になっては絶対にいけませんw