続いては反復記号について勉強しましょう。
曲中で全く同じものを繰り返して演奏するとき、同じものを2回書くのは面倒なので省略して書く方法がいくつかあります。それを反復記号と言うのですが、反復記号は音符に関するものと小節に関するものの2種類があります。
今回紹介するのは小節に関するものです。
一番メジャーなものは、複縦線に点を2つくっつけたマークです。このマークで挟まれた部分を2回繰り返します。
上の例で言うと、A→B→C→B→C→D という進行になります。
曲の頭から繰り返したい場合は左側のマークは省略することができます。
上の譜例の場合、A→B→C→A→B→C→D という進行になります。
ちなみにこのマークの名前は「反復記号」と言うらしい…。反復記号という名前の反復記号です。もう訳が分かりませんね。ボン・ジョヴィのボン・ジョヴィみたいなもんでしょうか。
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基本的には繰り返しなんだけど終わり方だけちょっと違う場合は、「1番カッコ」「2番カッコ」という技が使えます。
1回目の演奏では1番カッコに突入し、反復記号で一旦戻った後、2回目は1番カッコはすっ飛ばして2番カッコに進みます。
上の譜例は童謡「チューリップ」です。省略して書く場合はこのようになります。もちろん、本来はこんな数小節の省略のために反復記号は使いませんよ。説明のために敢えて書いています。
では次はD.C. とD.S. です。
まずD.C.(ダ・カーポ)ですが、これは「最初から」という意味です。カーポとはイタリア語で「頭」という意味らしいです。
頭から演奏を繰り返してFine(終わり)と書いてある場所まで来たら終わりです。
上の譜例は「きらきら星」です。正しく進行すると曲が完成するようになっています。
Fineの代わりにフェルマータを書くこともあります。フェルマータとは本来「停止」という意味だからです。しかし「音を伸ばす」という意味のフェルマータと紛らわしいためか、あまり使われることはありません。
次にD.S.(ダル・セーニョ)です。
セーニョとはサイン、つまり記号とか印とか合図という意味です。ダ・カーポが頭まで戻るのに対して、「印が書いてあるところまで戻れ」というのがダル・セーニョです。
上の譜例の場合、A→B→C→D→B→Cという進行になります。
セーニョとは「印」という意味なので、星型とかハート型とか、本来はどんな印でも構いません。モーツァルトが「へのへのもへじ」のような印を書いていたという話も聞いたことがあります。
ただし現在では、上のようにセーニョの「S」をもじった記号を書くのが一般的です。
では最後にVideを紹介して終わりにします。
Videとはラテン語で「見よ」という意味で、ビデオの語源になった言葉らしいですよ。繰り返しの際、Videと書かれた部分をすっ飛ばして演奏します。
上の譜例はA→B→C→D→A→Dとなります。
…え? こんな記号、見たことも聞いたこともないって?
いえいえ、確かにVideという表記方法では見たことがないかもしれませんが、実はとてもメジャーな記号なんですよ。
そう、実はVideとは「コーダマーク」のことだったのです。確かにどちらも「すっ飛ばして演奏する」という意味ですね!
ちなみに上の譜例は「メリーさんの羊」です。正しく進行できれば曲が完成するようになっていますよ。
今まで学んだ知識を実際に活用してみましょう。ポピュラーの楽曲では、だいたい次のような進行をすることが多いですね。
イントロ→A1→A2→B→サビ→
間奏1→A2→B→サビ→
間奏2→B→サビ→アウトロ
はい、このように反復記号を活用することで楽譜をスッキリとまとめることができます。
それでは今回の勉強はこれで終了です。今日一番勉強になったことは何ですか?
…え、ビデオの語源?
マジか… Σ( ̄ロ ̄;)