音楽理論 ざっくり解説

音楽理論をざっくり解説します。最低限のポイントだけ知りたい方へ

拍子 後編

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拍子 後編です。ここからは記譜法も含めて解説していきます。

前編で紹介したように、曲のテンポに合わせて「1、2、3、4…」などとカウントし、いくつの周期でリズムがピッタリ合うかを調べれば、その曲が何拍子であるかを判別することができます。

「1、2、3、4、1、2、3、4…」という周期でリズムがピッタリ合えば4拍子だし、「1、2、3、1、2、3…」という周期ならば3拍子です。

 

しかし、曲を聞くだけならこれでも充分なのですが、記譜をする際には情報がもう一つ必要になってきます。それは「どんな音符を単位として周期を作るか」ということです。

つまり同じ4拍子でも、四分音符を4つカウントするのか、八分音符を4つカウントするのかによって記譜が変わってくるわけです。

文章だけで説明するのは困難なので、とりあえず次の図をご覧ください。

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楽譜の冒頭には、この分数のような数字が書かれています。(分数ではないのですが、分かりやすくするためにこれ以降は分数として説明します)

分子の部分が「何拍子か」ということを表しています。4と書いてあれば4拍子ですし、3ならば3拍子です。そして、分母の部分が「単位となる音符」を表しています。4と書いてあれば四分音符、8と書いてあれば八分音符が単位となります。

これら2つの情報を合わせると、4/4とは「この曲のリズム周期は、四分音符を単位としたとき4つ分です」という意味になります。(下譜例)

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ちなみに、4/4の代用として「C」のような形の記号を書くことがあります。拍子を書くべき場所にCと書いてあったらそれは4/4を意味しますので、慌てないでくださいね。

え、なぜCなのか? えっと…長くなるので省略しますw

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では次、6/8と書かれていた場合はどうでしょうか。

これは「この曲のリズム周期は八分音符を単位としたとき6つ分です」という意味ですから、次のようになります。

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ちなみに曲のテンポが速い場合、6/8は3つの八分音符が1つのセットのように聞こえます。つまり「1、2、3、4、5、6」ではなく「イ、ィ、チ、ニ、ィ、ィ」のように聞こえます。6/8とは、実は2/4の一拍が3つに分割された形なのです。

 

ところで、この分母の数字は、曲を聞いただけで判別することができるのでしょうか。

実は結論から言うと、できません。繰り返しますが、この分母の数字はあくまで記譜上の問題ですので実際の音とは関係がありません。ある曲の楽譜を書くにあたっての作曲者による「定義」です。

また、音符はあくまで一曲の中での相対的な音の長さしか表していないので、長い音符を単位とした曲はテンポが遅く、短い音符を単位とした曲はテンポが速いということもありません。機械に打ち込めば、分母がいくつであろうと演奏は全く同じになります。

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例えば上の譜例はどちらも「かえるの合唱」です。普通は4/4で書きますが、作曲者が「いや、俺は4/8で書きたいんだ!」と言って書いてしまえばそれまでです。(あまり聞かない拍子ですが)

敢えて違いを言うならば、二分音符はゆったり、八分音符や16分音符はキビキビといった、それぞれの音符が持つ「イメージ」でしょうか。キビキビ弾いてほしいから4/4ではなく4/8で書く、ということは有り得るかもしれません。

あまりオススメはしませんがw

 

では次のような場合はどうでしょうか。

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譜例は「ドラえもんのうた」の冒頭です。上と下、どちらの書き方がいいと思いますか?(正確には4/4の3連符に対応するのは12/8ですが、あまり一般的な拍子ではないため6/8で説明します)

どちらも一拍を3つに分割した形なので同じと言ってしまえば同じなのですが、音符のイメージはちょっと違います。3連符は「ズンタ、ズンタ」とスキップしているようなイメージがあるのに対して、6/8の3つの音符のまとまりは全て地に足がついているような「タタタ、タタタ」というイメージです。

よって、この曲の場合は3連符で書いたほうが曲のイメージに合っていると考えられます。(事実、実際の楽譜も3連符です)

何度も言いますが、機械に演奏させればどちらも一緒ですよ。しかし拍子にはこのような作者のイメージが込められているので、演奏する際はそれも考慮しなければいけません。

 

同じ文章でも、楷書で書くか行書で書くか丸文字で書くか色ペンで書くか…それぞれ全然イメージが違いますよね。音読(演奏)する際は「なぜ作者は丸文字で書いたのだろうか」ということを考慮しなければいけないということです。

 

さて、拍子について長々と語ってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。細かい決まりがあったかと思えば、逆に感覚の問題だったり、最初のうちはなかなか面倒かもしれません。

しかし、美しい曲は楽譜も美しいと言われていますから頑張りましょう。