音楽理論 ざっくり解説

音楽理論をざっくり解説します。最低限のポイントだけ知りたい方へ

人工知能と音楽

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今回のテーマは、人工知能です。

人工知能の発達によって未来の音楽がどう変わっていくか、一緒に予想してみましょう。

 

皆さんは人工知能が作った曲を聞いたことがあるでしょうか。

私は数十秒しか聞いたことがないのですが、まぁ無難な曲を書くな、という印象でした。別に面白いわけではないのですが、かといって変なところもない。いたって普通の曲でした。

しかし、ちょっとここで冷静に考えてみましょう。数年前まで、コンピューターが作曲をするなんてことは全く考えられないことでした。にもかかわらず、2017年現在、もう無難な曲を書けるレベルまで来たのです。これは恐ろしいことです。数年後にはどうなってしまうのでしょうか。

 

ちょっと脱線。私は将棋が好きです。(たいして強くありませんが)

将棋と言えば、人工知能とプロ棋士が戦う企画がずいぶん注目されました。2017年は名人が人工知能と戦いましたが、2連敗を喫するという残念な結果に終わりました。

なぜそんなに強いソフトが出来上がったのか。それは人工知能が不眠不休で将棋の研究をしているからです。人工知能は今この間にも自分同士で対局を重ね、強くなっています。そして、機械ですから一度学習したら絶対に忘れません。

将棋は閃きも重要なのでしょうが、どちらかと言うと情報量の勝負です。新しい作戦が発明されると、それを打ち破る対抗策が研究される。さらにそれの対抗策が研究される…といった具合なので、結局は最新の作戦に精通している人が勝負を有利に進めます。

昭和の名人と現代の名人が対局したら、今の名人が圧勝します。昭和の頃の戦法など研究し尽くされているからです。

 

さて、不眠不休で研究を続けている人工知能の対局数はどの程度でしょうか。具体的な数字は知りませんが、人間の対局数を超えたそうです。つまり、将棋が今のルールになったのが江戸時代頃らしいのですが、それ以来の歴代プロ棋士の全対局数を超えたそうです。ということは、人工知能と戦うのは未来人と戦うのと同じことですから、先程の理屈で言うと勝てるわけがありません。人間側の戦法など研究し尽くされてますから。

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そろそろ話を戻しましょう。

音楽の人工知能も、これと同じようなことが今後起こると考えられます。

ポピュラー音楽の世界で言えば、ある特定のアーティストの曲を徹底的に分析して、「この人っぽい歌詞」「この人っぽい曲」などを簡単に書くことができます。事実、そういう人工知能は既にあります。

ちなみに私は「人工知能が作ったビートルズっぽい曲」というのを聞いたことがありますが、あまりビートルズっぽさは感じられませんでした。聞いた印象から判断すると、おそらくジョンの曲もポールの曲もゴチャゴチャに聞かせたのではないでしょうか。これは明らかな人間側のミスです。

 

また、今までのヒット曲を分析させて、新たな名曲を作ることもできるでしょう。いずれは「人間はどんな音楽に感動するか」ということまで解析できるのではないでしょうか。

クラシックの分野でも活躍が期待できます。現代音楽の分野はまだ音楽理論が体系化されていません。人工知能が今までの現代曲を分析して新たな音楽理論を作ってくれるかもしれません。特に微分音などは人間の耳で判断するのはなかなか難しいことです。しかし機械なら簡単でしょう。微分音を含む和音が研究されれば、それこそ今まで聞いたことのない新しい音楽が誕生します。

 

人間の作曲家の仕事は減るか。そりゃ減るでしょう。

曲を作りたければ、アプリで「ストーンズ50%、クイーン20%、モーツァルト20%、ピコ太郎10%」などと入力すれば機械が勝手に作ってくれます。気に入らなければ「作り直し」というボタンを押すだけです。何回作り直しても文句は言わないし、ギャラも発生しません。

ドラマの劇伴なんかは1週間で50曲とか作らないといけないわけですから、機械がやってくれればこんなに楽なことはありません。おそらく、メインテーマだけは人間が監督としっかりディスカッションして作って、残りの49曲は機械で、ということになるのではないでしょうか。

ギャラ、50分の1です。お疲れ様。

 

もっと先の未来では、作曲家など世の中に一人もいなくなるかもしれません。

いずれ人間はメガネを常に装着した状態で過ごすことになるでしょう。スマホがメガネ式になって、画面は直接視界に、音はモダン(耳に引っ掛ける部分)から骨伝導で聞くようになります。

そんな時代になったら、もう作曲家など必要ありません。人工知能がその人の好みを学習して、即興で次から次へと曲を流してくれます。つまり、ドラマを見ているときも、仕事に遅刻しそうで焦っているときも、その人に合わせた曲を流すようになります。

歌がある曲の場合は、より進化したボーカロイドが歌います。もう人間の声と区別がつきません。

 

ここに書いた未来は当たるでしょうか。外れるでしょうか。それは誰にも分かりません。スマートフォンは数年で急激に普及して我々の生活をガラリと変えましたが、そんなことは誰も予測できませんでした。きっと我々の生活はもちろん、音楽の世界でも予想だにしない変化がこれから次々起きることでしょう。

 

でも、そんな未来でも変わらないことが一つあります。それは…

 

きっと私の将棋は弱いままだということですw